2010年6月22日 12時41分
政府税制調査会(会長・野田佳彦財務相)の専門家委員会(委員長・神野直彦東大名誉教授)は22日、税制の抜本改革に向けた報告書「議論の中間的な整理」を税調に提出した。報告書は「国民により幅広く負担を求める必要がある」と消費税増税の必要性を強調し、菅直人首相が言及した消費税増税を追認した。所得税も控除の見直しなどで、高所得者により負担を求める方向性を打ち出した。
報告書は、過去の景気対策などでの度重なる所得税減税で税収が減った一方、急速な高齢化で社会保障支出が増加し、「財政は危機的な状況に陥った」との認識を示した。
そのうえで、財政破綻(はたん)を回避するため、「税収力の回復が急務」と指摘。高齢化の進展と勤労世代の減少を踏まえ、消費税を「社会保障を社会で広く分かち合う重要な税目」と位置づけた。ただ、具体的な税率や増税の時期には触れなかった。
また、消費税とともに所得税を「税制の車の両輪」とし、格差是正のために「累進構造の回復」が必要と指摘した。法人税率の引き下げは、賛否が分かれたため、両論併記にとどめた。引き下げる場合は、租税特別措置の縮小により課税ベースを拡大すべきだとの考えを示した。【久田宏】