裁判員裁判:千葉地裁で初の無罪判決…覚せい剤密輸事件

2010年6月22日 13時8分 更新:6月22日 13時14分

 覚せい剤を輸入したとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)と関税法違反の罪に問われた相模原市の会社役員、安西喜久夫被告(59)の裁判員裁判で、千葉地裁(水野智幸裁判長)は22日、無罪(求刑・懲役12年、罰金600万円)を言い渡した。裁判員裁判での全面無罪判決は全国初で、これまで控訴したことがない検察側の対応が注目される。

 公判では、安西被告がボストンバッグ内のチョコレート缶に覚せい剤が入っていることを認識していたかが争点となった。弁護側は、土産として他人に渡すよう頼まれて缶を預かったなどとして「中身は知らなかった」と起訴内容を否認。検察側は「覚せい剤密輸で公判中の者からの依頼で、報酬約束で缶を持ち帰った」などと主張していた。

 判決は、安西被告が税関検査で缶のエックス線検査を求められた際に「いいですよ」と応じたことなどから「言い分を信用できないとは言えない」と指摘。「缶内に違法薬物が隠されていると知っていたことが、常識に照らして間違いないとまでは認められない」と結論付けた。

 審理は男性2人、女性4人の裁判員が担当。このうち男性2人、女性3人が判決後に会見し「被告の状況は示されたが、有罪と言い切れる証拠がなかった」(会社員男性)などと公判の感想を語った。

 千葉地検は「裁判官と裁判員の評議の結果だと厳粛に受け止めている。主張と立証に全力を尽くしたと思っているが、足らない点がなかったか判決内容を精査して控訴についても検討したい」とコメントした。【前田浩智】

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