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なぜ逮捕?ネット・専門家が疑問も 図書館アクセス問題(1/2ページ)

2010年8月21日11時54分

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 自作のプログラムを使っていたら、突然警察に逮捕された。図書館ホームページからの情報入手を巡る事件では、IT技術者から不安や懸念の声が上がっている。逮捕の背景には、図書館がコンピューターの管理をメーカー任せにしている問題があるほか、捜査当局のITの知識を疑問視する声も上がっている。

 ある自治体の図書館で働く職員は「図書館はシステム面で当事者意識が乏しすぎる」と図書館側の問題を指摘する。指定管理者制度で一般企業から図書館に入ったが、引き継ぎ時にシステムの仕様書がなかった。「文系が多く、メーカーに『難しいことはわからないからやっておいて』という態度が目立つ」という。

 事件の舞台になった岡崎市立図書館と同じソフトを使う別の図書館では、朝日新聞が不具合を指摘したのに対し、「システムのことは全部メーカーに任せている。その件でもきちんとやってくれると思う」と回答した。

 日本図書館協会の松岡要事務局長は「メーカー任せの図書館は多い。必要な機能や性能を明示したガイドラインをつくりたい」とする。

 男性は今年5月、突然、逮捕された。取り調べで、プログラムに業務妨害の意図がなかったことを説明し続けた。20日間勾留(こうりゅう)された後、起訴猶予になった。事実を自身の視点で説明しようとホームページを立ち上げた。

 プログラムは自動で新着図書のリストを順に開き、内容をコピーして切り張りするだけのもの。図書館側へのアクセスは14日間に3万3千回で、秒間約1回。数万円で買えるコンピューターでも1日数万回や秒間10回はアクセスに耐えるとされ、むしろ少ない数だ。「常識的に考えて逮捕はおかしい」などとブログやツイッターで書き込みが相次いだ。

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