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◆自転車は歩道を走れないの?
なるほドリ この前、自転車に乗って歩道を走っていたら、警察官に注意されたんだよ。
記者 それは、道路交通法で自転車は「軽車両」に分類され、車両の一種とされているので、原則として車道の左側を走らなければいけないからです。違反したら3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金という罰則もあります。以前から自転車の歩道走行は原則禁止されていましたが、07年6月成立の改正道路交通法(08年6月施行)で、例外的に歩道を走ってもいいケースを明確化しました。でも、その際の国会審議で、当時の国家公安委員長が「私自身も『ルール上は車道を通るんだ』という認識がなかった」と答弁したくらいですから、一般の人に浸透していないのも無理はないですね。
Q 例外って、どんな時なら歩道を走れるの?
A 改正前でも、道路標識などで許可された場合は走行できましたが、改正で▽13歳未満か70歳以上、あるいは体が不自由な人が運転する場合▽路上駐車があるなど車道や交通の状況からやむを得ない場合--に走行可能になりました。原則禁止にもかかわらず歩道を走る自転車が絶えなかったので、実態に即してより守りやすい法律に変えたんです。07年には自転車安全利用五則も定められました。
Q でも、車道を自転車で走るのは怖いよね。
A そうですね。日本では自転車専用レーンの整備がまだまだ不十分という問題もあります。でも、自転車が歩道をビュンビュン走っていると、歩行者は安心して歩けません。歩道走行を許可されているところでも、自転車は車道寄りを徐行する必要があります。歩行者の通行を妨げてしまう時は、一時停止するように決められています。
Q 自転車が車の一種なら、お酒に酔って乗るのもだめ?
A その通りです。酒気帯び運転をしたら、自動車と同じように5年以下の懲役または100万円以下の罰金を科されることがあります。2人乗りや自転車が並んで走るのも原則禁止ですし、夜間にライトをつけなかったり、むやみにベルを鳴らしたり、傘をさしたり携帯電話を使用しながら乗るのも法律や公安委員会規則で禁じられています。信号無視や一時停止違反を含め、いずれも罰則が定められています。自転車は手軽な乗り物ですが、人を死なせる危険性もあるということを念頭に置いて、安全な走行を心掛けましょう。(社会部)
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◆国が07年に決めた 自転車安全利用五則◆
(1)自転車は車道が原則、歩道は例外
(2)車道は左側を通行
(3)歩道は歩行者優先で、自転車は車道寄りを徐行
(4)飲酒運転・2人乗り・並進の禁止。夜間はライト点灯。交差点での信号順守と一時停止・安全確認
(5)子供はヘルメットを着用
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毎日新聞 2010年8月21日 東京朝刊