梅田・北ヤードの先行開発区域。9月以降の生コン調達のめどが立っていない=大阪市北区、本社ヘリから、伊藤恵里奈撮影
大阪府内のマンションや再開発の建設現場で、生コンクリートの供給が途絶えて工事が止まる事態が起きている。生コン業界の労働組合が、1カ月半にわたってストライキを続けているためだ。8月に入って出荷再開の動きも出ているが、全面的な解決のめどはたっていない。
大阪府豊中市の千里中央駅に近い工事現場。大手ゼネコンが進める総戸数363戸の大型マンションは今秋にも販売を始める予定だが、広大な敷地には数人の作業員しかいない。クレーン車で鉄骨を移す作業はしているが、生コン車の出入りはストップ。今月末を過ぎても生コンが入らないと、基礎となる地下のコンクリートを打てず、販売延期の可能性も出てくるという。
ストは、大阪府と一部兵庫県の中小業者でつくる大阪広域生コンクリート協同組合の工場で7月2日から始まった。工場や生コンを運ぶミキサー車の運転手など関係する4労働組合の合計3500人が「賃上げには、出荷価格の値上げが必要」と要求。大阪府内を中心に約100カ所の工場で操業が停止した。
具体的な要求は、ゼネコンの買い取り価格の目安を1立方メートルあたり1万4800円から1万8千円へ引き上げることや、原材料費の変動に応じた価格決定など。不況にあえぐ協同組合の経営者らも同調し、買い付ける商社やゼネコンと対立する展開になった。
建材の市況をまとめている建設物価調査会によると、大阪市内の生コン価格は1立方メートルあたり1万3200円(6月11日〜7月10日調べ)で、東京都内の価格より900円高い。大手ゼネコン幹部は「価格は東京より高く、経営努力の余地がある」。組合側は「業界不況のしわ寄せを受け、実際の値段は原価割れ状態の8千円にまで下がっている」と平行線が続いた。