「オリオールズ5-6マリナーズ」(18日、ボルティモア)
マリナーズのイチロー外野手(36)はオリオールズ戦の五回に適時二塁打を放ち、5打数1安打1打点。チームは6‐5で逃げ切った。
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意識しなかったと言えばうそになる。試合前に聞かされたヒット取り消しの一報。その直後の試合で損した1本を取り返してみせたイチローは「(記録の)変更がなかったら今日、ヒット1本出てないかもしれないからねぇ。いいんじゃないの、別に」と言った。
対象となったのは、今月8日のロイヤルズ戦で八回に記録した遊撃内野安打だ。鈍い打球に慌てた相手野手が一塁へ悪送球したプレーを記録員が「安打」&「失策」と判定したが、その後、ロ軍側が抗議。記録再審委員会が検討した結果、「失策」に変更された。
この日のイチローは最初の2打席でいずれも鋭い打球が野手のグラブに阻まれる不運。しかし、1点リードの五回無死一塁、カウント2‐1からカーブを完ぺきにとらえて右翼線適時二塁打。右翼手が打球処理をもたつく間に三塁を陥れた。
さらに後続の左犠飛で生還。浅いながらも左翼線寄りの落下地点を見極め、迷わずGO。本塁手前でわずかに外に膨らみ、捕手のタッチをかわしながら左手でベースに触れた。イチローならではの身のこなしだったが、「(走る速度を)緩めちゃいけない。僕のテクニック不足。うまくない」と自らダメ出しした。
試合は1点差の勝利。3試合連続安打で10年連続200安打にあと46本とした。チームにとっても、イチローにとっても大きな1本だった。
(2010年8月19日)