9回、エドガーを遊ゴロに打ち取りガッツポーズを決める吉見(撮影・開出 牧)
「中日3-0巨人」(19日、ナゴド)
宿敵を失意の海に沈めた。右腕がうなる。指先を離れた分身が、描いた通りの軌道に乗った。寸分の狂いもない抜群の制球力。エースの生命線は、極限状態で最後まで保たれた。9回5安打、無失点の今季初完封。中日・吉見が3タテを飾る11勝目だ。
ガッツポーズが躍った。六回2死二、三塁。打者は小笠原だ。2点差、一発逆転…。フルカウントからファウルで3球粘られた後の9球目、141キロ直球で空振りを奪った。最大のピンチをしのいだ吉見が、珍しく声を上げ、右手のコブシを握り締めた。
「(初完封は)時間が掛かりすぎましたね。小笠原さんの場面は、自分の持ってる力を全部出そうと、力を込めて投げました」。123球の熱投。チームを今季最多タイの7連勝、5月22日以来の2位浮上へと導いた大黒柱が頼もしく映った。
オレ流指揮官も絶賛だ。「よく投げたね。(8回で)代えてくれと言うと思ったら、珍しく『行きます』って。ようやくその気になってくれたかなと」。G倒ローテを編成し、3戦目に送り込んだエースが結果と心で熱意を示した。燃ゆる夏。落合竜の熱は冷めない。
(2010年8月19日)