韓国メディアがジブリに殺到…「―アリエッティ」海外ヒットに手応え

韓国版ポスターの前に立つ米林宏昌監督（右）と鈴木敏夫プロデューサー

　現在公開中の映画「借りぐらしのアリエッティ」の韓国公開（９月９日）を前に、同国の報道陣４０人が２０日、東京・小金井市のスタジオジブリを訪問した。米林宏昌監督（３７）と鈴木敏夫プロデューサー（６２）が出席しての会見は先に一行が出席した世界的女優、ジュリア・ロバーツの来日会見を上回る熱気に。取材陣の反応の良さに、鈴木プロデューサーらは海外でのヒットの手応えをつかんだ様子だった。

　「ジュリア・ロバーツさん（の取材）のついでに寄っていただいて、ありがとうございます」。会見の最初、冗談めかしてあいさつした鈴木プロデューサーは、すぐに自らの言葉が間違いだったことに気付いた。通訳をしている間が惜しいほど、矢継ぎ早に飛ぶ質問。１時間弱の会見には、濃密な時間が流れていた。

　以前から世界各国からの来客が絶えないジブリだが、１つの国のマスコミが団体で訪れたのは今回が初めて。取材陣も改めてジブリの魅力に触れることができたようで、日刊紙「韓国日報」の記者は「ジブリの人気を確かめる、いい機会になった。３Ｄ作品が増えている中で、手描きのセルアニメにこだわる意味が分かった」と納得の表情を見せた。

韓国マスコミの前で会見を行う米林宏昌監督（中央奥）と鈴木敏夫プロデューサー（右奥）

　鈴木プロデューサーは会見で韓国側の変化を感じ取ったという。「『千と千尋の神隠し』の頃の韓国メディアは、経済的価値の質問ばかりだった。『この作品で宮崎（駿）監督は、いくらもうけたんだ？』とかね。それが、今回は作品の中身に対するものが多かった。韓国の映画文化が成熟してきた証拠じゃないかな」

　一方、韓流ドラマ「チャングムの誓い」が好きで、ロケ地を見るために韓国を訪れたこともある米林監督は「身近な国として、気持ちや考え方に近いものがあると思っていたけれど、間違っていないのが分かりました。どう見てもらえるか楽しみ」と話した。

　日本では１５日現在で動員５００万人を突破、今も数字を伸ばしている「―アリエッティ」。韓国では国外最速となる９月９日から、約３００スクリーンで公開がスタートする。作品が受け入れられる“土壌”が整ったことを実感した２人は、現地での成功を確信しているようだった。