広島市は20日、市の事業を外部の視点で検証する「事務事業見直し等検討委員会」の第2分科会の3回目を開いた。南区の比治山公園とふもとの商業施設をつなぐ立体遊歩道「比治山スカイウォーク」の維持管理事業に対し、出席した全4委員が「廃止すべきだ」との考えで一致した。存廃をめぐる最終的な「判定」は10月の全体会議で示される。
延長207メートルで、動く歩道や車いすで乗れるガラス屋根のエスカレーターを備える。市が1998年3月、比治山公園や近くの市現代美術館などの利用者の利便性を高める目的で17億6千万円かけ整備した。市負担は12億3千万円、残りは国の補助金を充てた。
利用者はまばらで、平日は特に人通りがなく閑散としている。2009年度は25万8千人と、完成翌年の99年度に比べ約45%減った。本年度の維持管理費は2041万円に上る。内訳は、警備や設備の保守点検など7業者への業務委託費が1582万円と大半を占める。
分科会で、市民委員の児玉学委員は「利用者が減る中、多大なコストをかけて何となく維持し続けている」と問題視。広島地下街開発取締役の多山宰佐委員は「周辺道路や駐車場の整備にお金を回す方が一帯の活性化につながる」と提言した。
安田女子大准教授の戸井佳奈子委員は「十数億円もかけ、公園へ通路を造ること自体がいかにもバブル的な施設」。東京工業大大学院教授の肥田野登委員は「ウォークを含め、比治山公園全体のコンセプトを考え直すべきだ」と求めた。
【写真説明】分科会で廃止を求める意見が相次いだ比治山スカイウォーク
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