給食無料化の矛盾
京畿道、裕福な家庭の子女にまで無料給食実施
低所得層の必須予算を最大70%削減
京畿道教育庁が、金相坤(キム・サンゴン)教育監(教育長に相当)の公約である無料給食の対象を大幅に拡大する一方で、多文化家庭(国際結婚家庭)支援、都市部に住む低所得層の乳幼児に関する教育格差解消のための予算などを大幅に削減することが分かった。
国会教育科学技術委員会に所属する与党ハンナラ党の金世淵(キム・セヨン)議員は19日、京畿道教育庁が提出した予算案を基に「京畿道教育庁・主要減額予算表」を作成。これによると、同道教育庁は今年の無料給食の予算を、前年比2.5倍となる1913億ウォン(約139億円、自治体支援377億ウォン〈約27億円〉含む)に拡大し、不足分は農漁村学校教育条件改善、多文化家庭子女教育支援などの予算を削減して充当することが分かった。特に、農漁村学校教育条件改善予算については、昨年の206億ウォン(約15億円)から、今年は62億ウォン(約4億5100万円)と70%も減少した。
京畿道で無料給食の対象となる児童・生徒数は、昨年は低所得層と農漁村地域の児童・生徒合わせて21万1000人(全体の11.6%)だったが、今年は約2倍の43万6000人(同24.5%)に急増。特に、保護者の収入に関係なく学校単位で無料給食の対象となる児童・生徒数は、昨年の5万1000人から19万8000人へと4倍近くに増加した。低所得層で無料給食の支援対象となっている児童・生徒数は、昨年の16万人に対し今年は23万8000人で、相対的に増加率が低かった。しかし、不足する予算から無料給食のための財源を捻出(ねんしゅつ)したことで、社会的弱者のために投資すべき予算や、学力格差解消のための必須予算まで減少する結果となった。
京畿道教育庁の昨年の予算は、4度の追加補正予算を含め9兆1830億ウォン(約6700億円)だったが、今年は1度の追加補正予算を含め8兆7135億ウォン(約6300億円)で、昨年より5.1%減少した。このため、同道教育庁は今年の小中学校の外国語教育予算を472億ウォン(約34億円)と昨年より39.8%も削減し、幼稚園の終日クラス運営などに費やす幼児教育振興予算も274億ウォン(約20億円)から191億ウォン(約14億円)に削減した。科学教育活性化予算については、 前年比76.4%減の51億ウォン(約3億7000万円)にとどまった。
専門系高校の教育支援予算も、昨年比45.2%減の321億ウォン(約23億円)、都市部に住む低所得層の子女に対する教育予算も同36.3%減の58億ウォン(約4億円)、多文化家庭子女教育支援に使われる学力格差解消予算も同37.5%減の10億ウォン(約7300万円)といずれも大幅に減少し、障害児童のための予算も3.8%の減少となった。
金議員は、「裕福な家庭の子女にまで無料で給食を与え、低所得層の子女の学力伸張に関する予算を削減するとはあり得ない。社会的弱者の機会均等などに予算を優先的に割り当て、その後で給食予算を執行すべきだ」と述べた。
趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者