日本では先日、千葉景子法相(62)が死刑執行に立ち会ったことで死刑制度そのものに議論が起こったが、アフガニスタンでは、世界に例のない残酷な方法で死刑が執行された。
公開処刑は現地時間15日、同国北部クンドゥズ州ムラー・クーリー村で行われた。
地元当局によると、男性(28)は既婚者で、女性(20)は別の男性と婚約していた。2人はパキスタンに駆け落ちするが、両家の家族が、彼らの結婚を承諾したとし、村に戻って友人の家に隠れていたところを、タリバンの“工作員”に発見されたという。
2人は後ろ手に縛られて身動きできないようにされ、約150人の前で刑が執行された。地元タリバン司令官が処刑を命じたとされ、ある目撃者によると、モスク(イスラム教寺院)から拡声器で村人が参列するようアナウンスされたという。目撃者は「女性全員が黒い服を着て、大群衆だったよ。タリバンが石を投げ始め、われわれも投げるよう要求されたんだ。しばらくすると女性は死亡したけど、男性はまだ生きていた」と生々しく振り返った。そして「誰かが反イスラム的な何かをすれば、これが彼らの運命だと、村人に警告したんだ」などと話した。
石打ちは、イスラム法(シャリア)が根拠で、身動きができないようにして死亡するまで石を投げ付ける刑罰とされる。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、2001年のタリバン政権崩壊以来、石打ちによる処刑が同国で確認されたのは初めてという。
同団体の関係者は「2人への石打ちは極悪非道な犯罪だ。タリバンや、ほかの反政府グループによるアフガニスタン人に対する虐待は、ますます残忍になっている」と指摘。アフガン政府などが、タリバンの処刑を非難しなくてはならない、と強調した。州当局者も「人権に反している。残酷だ」と非難した。