【萬物相】沖縄は中国領?

 朝鮮王朝の明宗(在位1545-67年)の時代に朴孫(パク・ソン)ら済州島の住民12人が琉球国(現在の沖縄)まで漂流して帰着し、朝廷に琉球国について報告した。紅や錦の衣を着て、冕冠(べんかん)を頂いた琉球国の王から、「われわれは明に仕えているから、望闕礼(ぼうけつれい・明の皇居を遥拝する儀礼)を行う。君たちの国も明の臣下なのだから、一緒にやりなさい」と言われたという。

 1999年に行われた天皇陛下即位10年の国民祭典で、天皇をたたえる国歌『君が代』を斉唱する際、女性歌手の安室奈美恵だけが口をつぐんだままでいるのがテレビに映った。右翼勢力は、「安室は沖縄出身だからわざと歌わなかった」と攻撃した。沖縄の人々は、天皇追従勢力が起こした太平洋戦争の際、沖縄戦で12万人が殺された苦難の歴史を心に刻んでいる。

 日本の高校教科書に書かれている沖縄帰属の経緯はこうだ。「琉球王国は江戸時代以来、薩摩藩の支配下にあったが、名目上は清国を宗主国としていた。日本政府は1872年に琉球藩を直属としたが、宗主権を主張する清国はそれを認めなかった。日本政府は1879年に琉球王国を廃止し、沖縄県の設置を強行する『琉球処分』を行った」というものだ。1850年代には米国、フランスなどと条約を結ぶほどの主権国家だった琉球国が、日本の「行政処分」だけで消滅してしまったのだ。

 中国の学者らは最近、「沖縄はもともと中国領であり、返還されるべきだ」との主張を始めた。過去5年間に、日本による1879年の琉球併合、1972年の米国による沖縄返還などはすべて国際法上の根拠を欠くとする論文が20本以上も発表されたという。19世紀末に清国は「琉球国は属国だ」と主張したが、日清戦争で負け、領有権を放棄した。

 100年余りにわたり黙っていたのに、今になって沖縄を返せという中国にも無理があるが、日本も堂々としていられる立場ではない。沖縄には「琉球独立党」があり、住民の30%が独立を支持するほど、日本の沖縄併合そのものが依然として論争の種だ。日本は国際法的にも実効支配面でも厳然として韓国領である独島(日本名・竹島)を、絶えず自国領だと主張してきた。そんな日本が沖縄を自国領だと主張する中国とぶつかれば、「竹島は日本領」だと言い張る主張に失望させられた韓国人の心情を、遅ればせながら感じることになるかもしれない。

申孝燮(シン・ヒョソプ)論説委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る