＜殺人＞派遣会社社長ら逮捕へ　１８歳従業員を殺害容疑

　埼玉県八潮市の中川で６月、千葉県松戸市中根長津町の派遣社員、永津隼（ながつ・はやと）さん（当時１８歳）が遺体で見つかる事件があり、埼玉県警は２０日、殺人や死体遺棄の疑いで、永津さんの勤務先の派遣会社社長や社員計３人の逮捕状を取った。同日逮捕する。

　捜査関係者によると、殺人と死体遺棄の疑いがあるのは▽松戸市古ケ崎２、派遣会社社長、豊嶋貴博（４６）▽同社員の高橋保幸（３７）の２被告。死体遺棄の疑いがあるのは同社員の今野辰也被告（３２）。３人は既に７月中旬に永津さんを車内に監禁したとして逮捕され、起訴されていた。

　３人は６月３日午後、豊嶋被告の自宅マンションで、永津さんを殴ったり浴槽に沈めるなどして殺害し、遺体を川に遺棄した疑いがもたれている。永津さんは６月６日正午過ぎ、全裸で川に浮いているのを散歩中の男性に発見された。

　豊嶋被告は０８年に人材派遣会社を設立。殺害された永津さんは従業員だった。永津さんの知人は毎日新聞の取材に「永津さんは会社に来なくなると、見つけられて連れ戻されて働かされていた」と話した。【町田結子、飼手勇介】

　◇きょう誕生日「夢あっただろうに…」　被害者の父

　永津隼さんはきょう２０日が誕生日。父親は１９日、千葉県松戸市の自宅で取材に応じ「明日（２０日）で１９歳になるはずだった。夢や希望がたくさんあっただろうに」と悔しさをにじませた。

　父親が隼さんと最後に会ったのは５月２９日朝。「東京に仕事に行ってくる」と言って出かける背中に「頑張れよ」と声をかけた。息子が遺体で見つかって約２カ月半。県警の捜査員は訪ねてくる度に缶コーヒーを持参してくれたが、手を付けられず、置いておくうちに５５本になった。

　隼さんは幼いころから父親と兄の３人暮らし。男所帯だったが、家庭は明るかった。特に隼さんは天真らんまんでよくしゃべり、「口から生まれたような子」だったという。

　隼さんの葬儀はまだ済んでいない。父が取材に応じている間、兄は部屋の奥から出ずに「気持ちの整理がつかないのでまだ何も言えない」とだけ話した。【平川昌範】

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