きょうのコラム「時鐘」 2010年8月21日

 景気の気も、病気の気も、元気の「気」と同じで、どれも気の持ち方が大切であるとの例えに使われる

幕末の志士、高杉晋作が臨終の際に「面白きこともなき世を面白く」と詠み、枕元の尼が「住みなすものは心なりけり」と付けたとされる話がある。「すべて心の持ち方次第」とでも言おうか。異論もあるが晋作の辞世として伝わる

その高杉が好きだという菅直人首相には、面白くない政治情勢である。念願の首相になってその気になり過ぎたか。小沢前幹事長に「しばらく静かにしていたほうがいい」と言った時までは面白くなりそうだったが、最近は雲行きが怪しい

「イラ菅」と呼ばれる首相も、敵に挑まれればかえって闘争心がわく高杉晋作タイプではなく、元気をなくすタイプなのか。先の国会答弁も、低姿勢というよりも、次に控える権力闘争を前にして「上の空」のように思えたものだ

代表選を前に民主党各派が本格活動を始めた。軽井沢で上がった炎は熱い割に歯切れが悪いが、これを「面白く」するもしないも首相次第だ。権力闘争から滲(にじ)む政治家の素顔や力量をじっくりと拝見したい。