強盗致傷事件で無罪を主張し、初公判前に保釈が認められた専門学校生、細貝賢太郎被告(22)の裁判員裁判で、東京地裁(若園敦雄裁判長)は29日、懲役9年(求刑・懲役12年)の判決を言い渡した。現場付近にあったたばこの吸い殻から被告と一致するDNA型が検出されたことや、被告に似た人物が被害者の後ろを歩く姿が映った防犯カメラの映像などの状況証拠を基に「偶然が重なったとは言えない」として被告を犯人と認定した。
細貝被告は強盗致傷と傷害、窃盗、器物損壊の4事件で起訴され強盗致傷など2事件で無罪を主張。裁判では8日間の期日の前半4日間で否認事件だけを先行審理していったん評議をする異例の方法(中間評議)が取られた。判決後の会見で裁判員を務めた40代の会社員男性は「いったん頭の中を整理できて良かった」と話した。
判決によると、細貝被告は09年6月、東京都江戸川区のマンション1階で、帰宅途中の女性のバッグを奪おうとして、刃物で右胸を1回刺し16日間のけがをさせるなどした。
強盗致傷罪などの重大事件で被告が否認している場合、従来は保釈されるケースはあまりなかった。6月に地裁が保釈を認める決定を出した後、検察側は特別抗告したが最高裁に退けられていた。【伊藤一郎】
毎日新聞 2010年7月30日 東京朝刊