富士河口湖町船津の住宅で新聞販売店従業員、平尾恵美子さん(当時61歳)を絞殺して現金約57万円を奪ったとして強盗殺人罪に問われた元同僚の無職、田中龍郎被告(58)=甲府市中小河原1=の4日目の裁判員裁判が3日、甲府地裁(深沢茂之裁判長)であった。検察側は無期懲役を求刑。弁護側は改めて無罪を主張して結審した。
検察側は論告で、検察側と弁護側の主張を対比させながら説明。長男の学費や家賃滞納などで金に困っていたが事件のあった日から金回りがよくなったことなどを取り上げ、供述内容の変遷などから「弁解はいずれも不合理で信用できない」と主張。さらに「不合理な弁解をして犯行を否認するなど反省の情は皆無」と指摘した。
弁護側は「検察側の立証は間接証拠を積み上げただけで田中被告以外が犯人の可能性もある」などとして改めて無罪を主張した。判決は4日に言い渡される。
裁判員による被告人質問では、男性裁判員1人が写真を用いて「あごの下の傷はいつできたものか覚えていますか」と質問。田中被告は「覚えていません」と答えた。続けて「平尾さんに引っかかれたときかどうかも分かりませんか」と尋ねると、「それは関係ありません」と答えた。【水脇友輔】
毎日新聞 2010年8月4日 地方版