―西暦XXXX年 夏―
―日本国 帝都―
―帝都大学 キャンパス
一人の青年が息を切らせキャンパス内を走っている
彼の名は佐橋祐樹、ここ帝都大学の三回生である
なぜ、彼は走っているのか?それは趣味のために全力疾走中
彼は世間一般的にいうオタクという奴だ。ただこの時代のオタクとしてはかなりマイナーなクラシック作品嗜好
クラシック作品とは?一般的には西暦2000年頃のエンターテイメント作品等のことをクラシックと言われてる。
現代人の実に6割ほどは存在を知らず知っている者も大半はそういう物があるという程度の認識しかないほどの古い作品群達である。
その彼の趣味にひっかかるのが本日発売の‘MUV-LUV ALTERNATIVE タイムダイバー版‘である
この他にもこの時代に発売された作品のタイムダイバー版が発売されるが目下、彼の優先順位はこのマブラヴのみとなっていた。
『タイムダイバー』
大手ゲームメーカーのアクタイオン社が開発した次世代インターフェース型スピリットダイブシステム。
専用のコントローラーを体に装着、五感等すべてを転送しあたかも自分自身がゲーム内に存在しているかのようにプレイできる。
また世界観やキャラクター等の設定や原画等を放り込むだけであとはコンピュータが自動的に演算、作成等を行うため、ソフトメーカー側からも人気がある。
ゆえに、現在世界のゲーム業界の7割のシェアを誇る大人気ハードである
今回、祐樹が買うソフトも過去の作品は著作権の保護期間が過ぎているため
ある企業が保存していたデータを再利用しコストをかけず売り上げをということで日の目を見ることとなった
―京都 とある専門店
「は~~ふ~~、なんとか間に合った、かな?」
若干息が切れながらも目的地に到着
店の前には早くも列ができている。昔からゲーム等は初回限定やら○○店限定特典が付いてくるのはこの時代でも普通のようだ
かく言う彼もこの系列店舗限定のPAK(パッケ)データとポストカードがほしいため大学からここまで汗だくになりながらも急いだ
文中に登場したPAKについて話そう
PAK(パッケ)とは頭文字をとっての略称で名称は
○Personal ○Apparatus ○Keepingsystem
というモバイルを指す。様々な形や色に種類があるのだが彼が持っているのは流涙型イヤリングタイプ
クラシック的には携帯電話と呼ばれるものに、ほぼ同等の機能を持ってる。他にも色々できるがここでは割愛させていただく
さて列も少なくなってきたようだ。
「いっらしゃいませ~本日発売商品の予約者ですか?」
「あっはい、そうです」
「PAKをお願いします」
店員に言われ、彼は外部端子を店員が差し出した接続部分にセット
「えーとMU(マ)ブ・・・?」
「MUV-LUV ALTERNATIVE」
「少々お待ちくださいね(あー確か3本ほどしか入荷してないやつだったな・・)」
「お待たせ致しました、こちらでよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」
店員がPOSにコードを通す
「こちら一点と」
さらに黒いディスクケースもPOSに通すが
「(うん?これ読み込んでも出ないってことは特典か?)」
と不思議に思うがこういう商品にはありきたりについている特典だと思いそのままスルー
「こちら一点で○○○○円になりますね」
「はい」
財布からお札を取り出し店員に渡す
「○○○○○円お預かりのお釣のほう○○○○円になります」
「ありがとうございました~~」
店員の掛け声を後ろに彼は逸る気持ちで急ぎカウンターから離れ家路へと着いた。
「次の方どうぞ~~」
店員は次の客に声をかけた
「自分も前の人と一緒のソフトで」
とそれに答えた次の客がレジに近づきながら要望を伝える
「PAKのセットお願いします(3本しか予約入ってない連続とかめずらしいな)」
さきほどと同じようにPOSに通すが
「お会計○○○○円になりますね」
「あれ、自分のは付いてないんですか?」
彼はさきほど祐樹が買った場面を見ていたのであろう
そう質問し、手でディスクケースの形を作る
「?何がですか?」
「いや、前の人に渡してたじゃないですか黒いディスクケース」
再度、彼は手でディスクケースの形を作り出す
「そういえば・・・・・・少々お待ちくださいね」
そう言葉を残し彼はレジ内の商品棚の方に姿を消した
それから色々と捜索してみたが見当たらず、若干のクレームとなるがそれ以降は特に問題はおこらずその日のこの店舗の営業は終了となった。