2010年6月21日 11時31分 更新:6月21日 14時43分
【北京・成沢健一】中国人民銀行(中央銀行)は21日、人民元相場の弾力性を高めると19日に発表してから最初の取引の基準値を、発表前日の18日と同じ1ドル=6.8275元と公表した。21日の上海外国為替市場の人民元相場は基準値比で0.24%程度、元高・ドル安の1ドル=6.811元前後で取引されている。人民銀行は1日当たりの変動幅を基準値の上下0.5%以内と定めている。初日の取引でのドルに対する上昇幅は限定的とみられていたが、「予想よりも元高が進んでいる」との声も出ている。
人民元相場は05年7月の為替改革以降、08年7月までに対ドルで約21%上昇した。国際的な金融危機が深刻化するなか、08年夏以降は輸出企業への影響を考慮し、人民元を売ってドルを買う介入を行いながら、1ドル=約6.83元で事実上、固定してきた。
人民銀は08年7月以前に外国為替市場で人民元が切り上がる際に、通貨バスケットを参考に基準値を決めてきた。今回は通貨バスケットの構成で、ユーロなどドル以外の通貨の比重を高くするとみられる。
固定してきた人民元相場が弾力化され、上昇を再開させたとみられるが、人民銀は20日の談話で、「人民元相場が一気に上がるような切り上げは行わない」と大幅な切り上げは否定している。
【ことば】通貨バスケット制 為替レートを決める際、複数の外貨を加重平均して自国通貨と連動させる制度。自国との関係が深い主要通貨を選んで「バスケット(かご)」に入れ、貿易比率などで比重を決める。バスケットの中の各通貨の強弱が相場の動きを相殺するため、単一の外貨に固定するより為替相場が安定するメリットがある。中国は05年にドルやユーロなどを組み入れた通貨バスケット制を導入した。