菅首相:消費増税論議の沈静化に努める 無駄削減も強調

2010年6月21日 21時31分 更新:6月21日 23時43分

会見で記者の質問に答える菅直人首相=首相官邸で2010年6月21日午後5時40分、藤井太郎撮影
会見で記者の質問に答える菅直人首相=首相官邸で2010年6月21日午後5時40分、藤井太郎撮影

 菅直人首相は21日の記者会見で、持論の「強い財政」に向けて、自ら火をつけた消費増税論議の沈静化に努め、無駄削減の必要性を訴えた。7月の参院選を控え民主党内からは首相批判も出ており、首相は消費税の引き上げ時期について「少なくとも2、3年、あるいはもう少しかかる」と釈明した。しかし、「消費税率10%」は24日公示の参院選で最大の争点になりつつあり、首相は論戦を通じ詳しい説明を求められることになりそうだ。

 首相は会見で「強い財政は経済成長、社会保障にとって、なくてはならない大きな要素だ」と述べ、財政再建に取り組む意向を重ねて強調。一方で「(財政再建に向け)第一にやらなければいけないことは、まさに無駄削減だ」とも指摘し、事業仕分けや公務員人件費の削減、国会議員の定数削減に取り組む意向を示した。

 首相が無駄削減への積極姿勢をアピールするのは、参院選の争点が消費税一色になることへの危機感からだ。政権が代わり内閣支持率は「V字回復」したが、増税路線ばかりが目立てば、政権の勢いが失速しかねない。

 増税論議の高まりに、民主党内では懸念の声が強まった。21日の民主党常任幹事会で小沢一郎前幹事長に近い松木謙公国対副委員長が「説明不足ではないか。昨年の衆院選マニフェストでは消費税を上げないと約束していながら、増税と報道されている」と批判。高嶋良充参院幹事長も「あまりにも早すぎる発言だ」と語った。

 民主党は同日、全議員と参院選候補者に、有権者への説明用に「参院選マニフェスト消費税関係Q&A」を配布した。首相発言の影響を最小限に抑える狙いがあるようだ。

 首相は「何か参院選が終わったら、すぐに消費税を引き上げるようなメッセージが国民に伝わっているとすれば、全く間違いだ」と述べ、冷静な議論を求めた。【中村篤志、念佛明奈】

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