14年前の記憶が蘇る。1996年7月21日のオールスター第2戦。松井秀(当時巨人)は代打を送られ、投手イチロー(当時オリックス)との対決は実現しなかった。
「野村(監督)さんに『どうする』と聞かれたんで『どっちでもいいです』と答えたら、『なら代われ』と言われたんです。仰木(監督)さんの遊び心が出たんでしょうけど、自分が監督ならやらないと思う。野手には野手、投手には投手の役割がありますから」
ファンの論議を呼んだ“幻の対決”が、米国でも紹介されそうだ。今季2人は同じア・リーグ西地区に所属。しかもオールスター戦はゴジラの地元アナハイムで開催されるため、米メディアが球宴前の特集記事として取り上げるには格好のネタになるのだ。
「イチローを登板させた監督は娯楽性があり、マツイに代打を送った監督は球宴をスター選手が真剣勝負する舞台という考えなのだろう。米国のファンも球宴に求めるものを考える記事になると思う」とはエ軍担当の米紙記者。すでに動画で対決が幻に終わった場面を見たという。
松井秀は、ファン投票の中間発表でDH部門の2位。トップのウラジーミル・ゲレロ外野手(35)=レンジャーズ=に130万票以上の大差をつけられている。球宴前の話題だけに終わるのは、開催地のスター選手として寂しい限りだが…。