社会
愛宕山訴訟弁論で国を批判
(山口県)
岩国市の愛宕山開発跡地の周辺住民が国が事業認可を取り消したのは違法だと訴えている裁判の弁論が19日広島地方裁判所で開かれ、元地権者の原告が「これは行政による裏切り行為だ」と主張した。
訴えているのは岩国市の愛宕山周辺に住む元地権者や住民19人。
原告らは新住宅市街地開発法には事業の廃止を認める規定がなく国が事業を取り消したのは違法と訴えている。愛宕山開発は岩国基地の滑走路沖合移設事業に連動したもので埋め立て用の土砂を基地沖合いに搬出した後、県住宅供給公社が大規模な住宅地を造成する計画で国から新住宅市街地開発事業の認可を受けて行われた。しかし県と岩国市が2007年に開発を中止したことから国は去年2月、
新住宅市街地開発事業の認可を取り消す処分を下した。その後、防衛省はこの愛宕山跡地について在日アメリカ軍再編に伴い空母艦載機部隊などの岩国移転で必要となるアメリカ軍住宅の有力な候補地としていて今年度予算に199億円の買収経費を計上している。原告側は元地権者の廣兼隆充さんが意見陳述し「愛宕山にアメリカ軍住宅ができるとわかっていたら売却に同意していない。事業認可の取り消しで優先的に宅地を購入する権利も奪われ行政による裏切り行為だ」と述べた。一方、国側は書面で「土地の処分計画はまだ定められておらず元地権者でも優先的に機会が与えられた者は存在しない」などとして原告はすべて訴える権利がないと反論した。裁判で原告側は事業認可を廃止した法律の根拠を国が示していないことを批判し、裁判長は次回までに国に反論を示すよう求めた。愛宕山の周辺住民は防衛省への跡地売却に抗議の姿勢を強めていて21日から跡地を見渡せる公園で座り込みを始めることにしている。
[ 8/19 19:37 山口放送]