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【スポーツ】一二三 四強2010年8月20日 紙面から
◇夏の甲子園<第13日>東海大相模が九州学院に10−3で勝ち、40年ぶりにベスト4に進んだ。一二三慎太投手は8回につかまったが、9回に打線が再点火して勢いを取り戻し、完投勝ちした。20日の準決勝では成田のエース・中川諒投手と、決勝進出とともに関東最強の座をかけて対決する。報徳学園は先発した1年生右腕・田村伊知郎投手の好投で、新潟明訓を2−1で破った。報徳学園の4強入りは、優勝した1981年以来29年ぶり。 最終回、初めての3者凡退に打ち取ると、東海大相模のエース一二三は、グラブをポンポンたたきながら笑顔でマウンドを駆け降りた。「8回は自分の甘さ、力不足で3点を取られたが、毎試合勝ててうれしい」と汗をぬぐった。 体温より高い気温の真っ昼間、炎天下のマウンドを一人で守りきった。153球は、サイドスローに変えた今夏の公式戦8試合(神奈川大会、甲子園)の中で自己最多。8回裏は「表の攻撃で暑い中、一塁から本塁まで走った疲れが出た」と、5安打3失点。3点差にされ、なお2死一、二塁のピンチに、一二三は天を仰ぎ、鼻から吸って口からはく深呼吸を、ゆっくり3回繰り返した。今夏の開幕前、巨人・原辰徳監督の父親で、元東海大相模監督の原貢氏(75)に教わった、試合中に集中し直す方法。気持ちを整え直し、投ゴロで切り抜けた。 今春センバツの自由ケ丘戦。1−1で迎えた8回に、やはり3失点して初戦敗退した。「思い出したけど、今回は点差もあったし焦りはなかった」。その粘りに打線が奮起、9回表に4点でダメ押しして圧勝した。 東海大相模の夏の4強入りは、全国制覇した1970年以来40年ぶり。原貢氏は当時の監督であり、65年には三池工(福岡)でも甲子園初出場優勝。真夏の甲子園の厳しさを知り抜く名将の教えが、一二三にも受け継がれていた。 門馬敬治監督(40)は「150球投げさせた九州学院打線も粘り強かったが、一二三がそれを上回ったのが勝因。完投させるつもりだった」と信頼を寄せた。一二三も「連投はエースとして当たり前。3連投の経験はないが乗り越えたい」とうなずいた。頂点まであと2勝。40年ぶりの深紅の大旗をつかむまで投げ続ける。 (竹村和佳子)
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