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大事故、紛争続く「魔の8月」乗り切る露政権 森林火災もTV統制が威力 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:ロシア・CIS
【モスクワ=遠藤良介】ロシア西部での深刻な森林火災で政権の統治能力に疑問符が付いたにもかかわらず、プーチン首相の支持率が64%と高水準を維持している。鍵を握っているのは、国民の大多数が情報源とする主要テレビ局を政権が支配している現実だ。ロシアでは過去10年間、8月に大事故や紛争など国を揺るがす出来事が集中してきたが、今年も政権は「魔の8月」を乗り切れそうだ。
世論調査基金によると、火災が拡大していた8月1日〜12日にメドベージェフ大統領の支持率は52%から57%、プーチン首相も61%から64%まで上昇した。火災の死者が50人超、住居を失った人が3500人に達し、現行の中央集権体制が大規模災害に効率的に対処できない現実があらわになった中での支持率回復だ。
「人々は、プーチン氏が消火に走って役人を叱責し、被災者に復興資金を約束する光景ばかりをテレビで見ている」。世論調査機関レバダセンターのグトゥコフ所長はこう指摘し、「テレビのプロパガンダ(政治宣伝)によって、統治の質や効率、政権の責任は一義的な問題でなくなっている」と分析する。
プーチン氏が前大統領に就任した2000年の8月には原子力潜水艦クルスクの爆発・沈没で乗組員118人全員が死亡。04年8月には旅客機2機の同時爆破テロがあった。08年にはグルジア紛争、昨年は死者・行方不明者70人以上を出す水力発電所事故がともに8月に起きている。