【 凍結乾燥食品の長所 】 |
@他乾燥法と比較し、食品中の氷の昇華によって乾燥が進むため、乾燥による形態の変化(収縮・きれつ)がない。
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新鮮時又は調理時の形態のままの多孔質の乾燥品となる。
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A昇華促進のため加熱操作が加えられても、乾燥過程においては0℃以下の低温領域で乾燥が進行し、終期において
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も常温に近いため、乾燥中に極端な成分変化が起こらず、色・味・栄養成分等を保持したままの乾燥品となり、復元時
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にその食品本来の特性が生きる。
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B食品内部に分布する氷の部分のみが除去されるので、乾燥製品は、空隙があらゆる所にあるような多孔質に仕上が
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るため、復元に際してそこより水や熱湯が侵入しやすいので、復元性・溶解性が非常に高い。
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C非常に低水分まで(通常全重量の5%以下。結合水まで除去されるため。)乾燥が行われるので、その水分状態を
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維持すれば(厳重な包装で)相当長期にわたる保管が可能。しかも、常温の保管が可能である。また、低水分であ
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るため、輸送性が高い。
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以上のように、凍結乾燥食品は、品質、復元性、嗜好性、貯蔵性、輸送性等の面から見て、いずれも優れた特徴を
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もっている。
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【 凍結乾燥食品の短所 】
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(品質面)
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@凍結及び乾燥工程において、物理的変化が起こり、テクスチャー(歯切れ、歯ざわり、のどごし等)の変化(破壊)
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が生じるものがある。(他の乾燥法と比べるとその変化は最も少ない。)
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A多孔質で復元性の高いことは、逆に吸湿及び酸化表面積の拡大を意味し、吸湿による変質、酸化による退色・変色
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酸化臭の発生することがあり、低湿度条件による包装、包装材料の検討、酸化防止剤の使用等の変質防止の対応が |
必須となる。 |
B機械的衝撃、振動に対してもろく壊れやすい。また乾燥前後の容積の変化が少ないため嵩が高く、包装方法、形態 |
等に注意が必要である。 |
(設備面) |
@初期投資が大きい。(乾燥設備のみならず、冷凍設備、低湿包装設備等、機械・設備に多くの投資が必要となる) |
Aエネルギー消費量が大きい。(直接の乾燥エネルギーとて熱風乾燥の約2倍必要とされる。) |
→ 蒸発潜熱と昇華潜熱との違い。熱効率の悪さなどの原因による。 |
Bメンテナンスコストが高い。(凍結乾燥は、あらゆる食品加工技術を必要としており、設備機械も多くなるため) |
これら、欠点を補い余りある、通常の乾燥法では得られない優れた品質の製品を得られるのが、凍結乾燥食品である。 |