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重点シフトの時

2010年8月19日0時2分

 日本の経済は急減速し、先行き警戒感が強まっている。政策は後手を引き、戦略も不在である。しかし、世界の地殻変動は激しく、国全体として思い切った重点シフトをする時ではないか。

 例えば、グローバルシフト、環境シフト、動機シフトの三つである。

 グローバルシフトとは、日本国内での評価や競争にかまけてきた発想から脱却し、世界特にアジア諸国を始めとする新興国の人々が物心両面で豊かになることを日本の存立と不可分なものととらえることである。海外投資の積極化は輸出の振興、技術開発の刺激、収益増を通しての新しい雇用の創出という好循環につないでゆく。

 環境シフトとは、世界最先端の環境技術を更に深めると共に、アジア諸国や世界のためにどう役立てるか。世界の環境保全に貢献することを国づくりの基本として位置付けることである。経産省が推進している技術協力と排出権を結びつける二国間協定や、国と民間が力を出し合うインフラ輸出政策もこの後押しとなろう。また、環境教育をもっと重視し、自然への深い畏敬(いけい)を伝承してきた日本のアイデンティティーをより確かにする布石も必要である。

 動機のシフトとは、何のための経営、経済、政治かなどを問い直し、動機を本来化することである。世界が変わらなければならない今は、あらゆる面で動機を再点検し、パラダイムをシフトする好機である。利益最優先、社員は利益をあげるための手段といった人間不在の前提を超え、人間の可能性をもっと信じること。それを引き出し世界の本当の必要や必然に応えることによって、希望ある世界への道を開くことを私たちの使命ととらえることである。(瞬)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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