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韓国:李大統領、「統一税」火消し躍起 与野党の慎重論に配慮

 【ソウル西脇真一】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は17日、北朝鮮との統一に備えた「統一税」について「今すぐ課税することはない」と釈明した。李大統領は、いずれ必要になる統一費用について国民的な論議を起こすことを狙って15日の演説で言及したが、与野党から「時期尚早」といった慎重論が相次ぎ、自ら火消しに回ることになった。

 青瓦台(大統領府)によると、秘書官から業務報告を受ける席で、李大統領は統一税導入について「今すぐではない」と断った上で、現在の南北分断を継続したままの政策から、統一を前提にした政策に変えねばならないと、あらためて準備の必要性を指摘した。

 また、韓国統一省副報道官は17日、「現在、世論をどのようにまとめていくか、議論のロードマップを作成中だ」と明らかにした。

 李大統領は15日に行った演説で「統一は必ず来る。その日に備え、統一税など現実的な案も準備するときが来たと思う」と明言。翌日の主要紙は、この発言を大々的に報道し、社説でも「天文学的統一費用には備えるが、統一税は慎重に」(東亜日報)、「時宜にかなわず、むしろ違う懸案を覆い隠すという戦略的動機が強いようだ」(ハンギョレ新聞)とした。

 与党ハンナラ党の最高委員会議でも「(朝鮮半島非核化を前提にした南北の)平和共同体が定着してからでも遅くない」といった意見や、事前の打診がなかったとの不満も漏れた。さらに、保守派からも「膨大で、税でまかなうには現実性がない」「費用は関係国が拠出する基金方式が適当」との意見が出ている。

 また、朝鮮日報などは、大統領直属機関の内部試算を入手し、北朝鮮が開放政策をとらないまま来年、急に崩壊した場合、統一費用は30年までに2兆1400億ドル(182兆5000億円)、開放後の場合でも3220億ドル(27兆4000億円)かかると報じた。

 一方、朝鮮中央通信によると北朝鮮の祖国平和統一委員会報道官は17日、「統一税は『北の急変事態』を念頭に置いた極めて不純なもの」と批判した。

毎日新聞 2010年8月18日 東京夕刊

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