三重県伊勢市の国道23号で08年、車で歩行者をはねて死亡させたとして、自動車運転過失致死罪に問われた三重県志摩市の板金工の男性被告(29)に対し、津地裁は18日、無罪(求刑・禁固1年2月)を言い渡した。鵜飼祐充裁判長は「被害者は樹木が植えられた中央分離帯から飛び出しており、人の横断は予想できなかった」とした。
被告は08年12月20日午前6時ごろ、道路横断中の男性会社員(当時26歳)を軽乗用車ではね、死亡させたとして起訴された。検察側は、被告が法定速度(時速60キロ)を超える時速80キロで走行し、前方を注視していなかったと主張。弁護側は「法定速度を守っていたとしても、飛び出してきた男性をよけることはできなかった」と反論していた。
鵜飼裁判長は、飛び出しを予見して事故を回避することはできなかったと認定。さらに「捜査をした警察官が立会人になるなど、被告人に不利な条件で実況見分が実施された可能性があり、証拠の信用性が低い」と指摘した。【大野友嘉子】
津地検の飯島泰次席検事の話 判決内容をよく精査し、適切に対応したい。
毎日新聞 2010年8月19日 2時17分