きょうのコラム「時鐘」 2010年8月19日

 稲刈りが近づくとコメの話題が増える。温暖化で50年後は豊作になるかもしれないとの研究があった。かと思えば、新潟では温暖化に強い品種を開発中という

元々、稲は南方の産だから温暖化も悪いことばかりではないと単純には言えないそうだ。今や日本一の米どころは新潟ではなく、寒冷地の北海道である。先日、その道東の網走から北見を回ってきた

かつて旭川以南にしか見られなかった道内の水田が、畑や牧場に替わって道東に広がっていた。田んぼ一枚がとにかく広くて驚く。北陸の穀倉地帯を思わざるを得ない日本の稲作事情の激変ぶりだ

今秋の作況指数は102で豊作を予測する記事が、コメ余りの加速を心配していた。コメの個人消費も過去最低となって食料自給率が低下した。政府買い入れ米を増やして家畜飼料とする記事もあった。豊作が素直に喜べない変な時代になった

列車の中で駅弁を開く。裏蓋(ぶた)に付いた飯粒を箸で拾って食べようにも最近の駅弁に飯粒はくっつかない。工夫はよいが味気がないと、ビニール容器を怒っても仕方ない。銀しゃり神話は遠くなるばかりだ。