2010年6月20日 21時24分 更新:6月20日 21時38分
21世紀臨調の大会は、民主党政権の9カ月間の実績も評価し、昨年の衆院選マニフェストの達成度を示す「政策実績」と、政治主導をどこまで貫けたかをみる「政権運営」の2分野で採点した。事業仕分けには一定の評価が集まったものの、財源手当てが不十分だった点や政策決定過程の不透明さなどを問題視する指摘が相次ぎ、昨年の自公政権への評価をおおむね下回る厳しい結果となった。
8団体中、実績を点数化(100点満点)したのは6団体。民主党を支持する連合は「政策実績」60点、「政権運営」50点と、自公政権への評価に比べて30点ずつ加点し、日本総合研究所も微増させたが、残る4団体はいずれも自公政権より低い評価を下した。
「政策」で多くの団体が認めたのは事業仕分けだ。「予算執行の透明化・効率化を目指した」(PHP総合研究所)などと称賛された。子ども手当も、高校無償化や農業の戸別所得補償とともに「一定の進展が見られた」(経済同友会)と実績を評価された。
一方、鳩山由紀夫前首相の辞任要因となった米軍普天間飛行場の移設問題には酷評が続いた。PHP総研は「外交の基軸、日米同盟を不安定化させた」と指摘し、マニフェスト全面改訂の必要性を主張。言論NPOは「どのような戦略を構想しているか、前首相が責任を持って説明したことはなかった」と批判した。
財源確保にも厳しい声が相次いだ。民主党は「初年度7.1兆円の財源確保」と掲げながら、事業仕分けでも約2兆円の捻出(ねんしゅつ)にとどまった。それでもマニフェストにこだわったことに対し、日本総研は「財源手当てを不十分なままに目玉政策を実現したため、予算規模を拡大させ、財政規律面で後退した印象」と論じた。
竹中平蔵元総務相ら市場原理重視の学者で作るチーム・ポリシーウォッチは「経済財政運営の枠組みなきばらまき」と批評するなど、大半の団体は政権交代後にマニフェストを見直すべきだったと主張した。
「政権運営」では国家戦略局がやり玉に挙がった。法的根拠となる法案は成立せず、「(自公政権の)経済財政諮問会議に代わるマクロ経済の司令塔が不在」(PHP総研)とされ、「政治主導」が混乱した原因とされた。また小沢一郎前幹事長によるガソリン税の暫定税率維持の要望などを踏まえ、「(政策決定に)党側の影響力が行使される場面が見られ不透明」(経済同友会)などの意見も多かった。【野口武則】