山口県上関町で原子力発電所建設計画を進める中国電力は、同町祝島の反対派住民らに対し、予定地内の公共の海岸(陸域)で工事の妨害行為をしないよう求める仮処分を山口地裁に申し立てた。
中電によると、申請は7月30日付。上関原発を建てさせない祝島島民の会(山戸貞夫代表)と祝島の住民ら12人に対し、工事区域内への立ち入りや滞在などを禁じるよう求めている。県が海面の埋め立てを許可したことで、埋め立て地に続く陸域では公共の海岸であっても排他的に造成する権利があると主張している。
反対派に対し中電は、海面埋め立て工事を妨害しないよう仮処分申請し、山口地裁岩国支部が今年1月、妨害禁止を命じる決定を出した。反対派は広島高裁に抗告している。中電は昨秋、海面埋め立てに着手したが、反対派による海上と陸上での抗議が続き、工事を中断している。中電側は「妨害が常態化している」として申請に踏み切ったという。
山戸代表は「中電の言う海岸は国の管理する土地。民間会社が訴えることは問題だ」と反発している。
毎日新聞 2010年8月18日 21時22分