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米軍岩国基地、補給基地機能も 久米県議指摘
2010年8月18日(水)掲載
米軍岩国基地の監視活動を続けている岩国市の久米慶典県議(共産)は17日、同基地を1997年6月に現地調査した米陸軍輸送司令部が「岩国の将来の港湾は米軍の海上輸送作戦を支援する十分な能力をもつ」と推測していることを受け、「滑走路移設事業は米軍機の出撃拠点基地として強化しただけでなく、輸送補給基地としての機能を付け加えたことになる」と新たな指摘をした。

久米県議は告発サイト「ウィキリークス」に掲載された『世界の港湾分析2002』の資料の一部を入手。記者会見し、岩国基地に関する部分(17ページ)の構成と要約を公表した。

資料は2858ページに及ぶ膨大なもので、国内の港湾では岩国基地のほか、秋月弾薬庫、八戸、佐世保、横浜を取り上げている。久米県議に資料提供した国際政治学者の新原昭治氏は「ある特定の計画に基づいた現地分析と調査結果の報告が目的ではないか」と見ているという。

97年に岩国基地を訪れたのはMTMC(米陸軍、軍事交通管理コマンド)のTEA(運輸工学局)の調査チーム。輸送アクセスや港湾施設などの現況と将来予測を記述している。

結論として「将来の港湾は米軍の海上輸送作戦を支援する十分な能力を持つものである」とし、「1日の仕事量は重量4100トン、容量1万6400トンと推測される」としている。久米県議は「この量を換算すると年間600万トンで山陽小野田港の年間400万トンを上回る」と説明した。

97年当時、埠頭(ふとう)は一つだったが、将来構想では二つになっており、「滑走路移設事業はあくまで移設事業で埠頭を増やすことはできないはず。明白な機能強化だ」と指摘。新たな港湾の使用形態として今年6月28日、厚木基地のE2ホークアイが岩国基地の埠頭からサンディエゴに向け海上輸送したことが岩国基地機関紙に掲載されたことを挙げた。

滑走路沖合移設事業で建設された5万トン級の大型船舶が接岸可能な超大型岸壁(長さ360メートル、水深13メートル)は大型クレーン(84トン)を備え、2005年8月16日運用開始され、米海軍艦艇や輸送艦などが出入港している。
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