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フィギュアスケートに関するたくさんの議論が起こり、多くの人々がこのスポーツの本質について考えた2009―10年五輪シーズン。すっかりオフシーズンとなってしまいましたが、この1年で話題になった事柄を、改めて少しずつ振り返ってみたいと思います。
まずは五輪男子を沸かせた「4回転ジャンプ論争」。米国のエヴァン・ライサチェクがトライせず優勝したのに対し、ロシアのエフゲニー・プルシェンコは4回転―3回転のコンビネーションジャンプを決めたにもかかわらず銀メダルに終わりました。すでに数年前から議論されているこの問題について、考えてみたいと思います。
現在の採点システムの上では、どうしても男子ならばトリプルアクセル(3回転半)までで勝負をする方が有利ではあります。4回転ジャンプにトライしなくとも、質の高いプログラムを見せ、音楽と巧みに調和し、4回転以外のジャンプをミスなく跳ぶことで点数を稼ぐことは可能です。五輪でのライサチェクは4回転以外のジャンプがそれほど豪快というわけではないため、ジャンプ以外の部分―ステップ、スピン、上半身の振付け、音楽との調和。そして持って生まれた手足の長さもうまく利用し、見る人の心に響く作品を作り上げ、プログラム全体としての完成度を高め…、そんな戦い方で、勝利を収めました。
かたや、4回転ジャンプにどこまでもこだわったのが、ケガの療養から3季ぶりに復帰したプルシェンコでした。やはり男子の王者には、その風格を得るためにも必要。それが、かつての4回転ジャンプ全盛期を戦い抜いてきた彼の持論です。フィギュアスケートはスポーツです。スポーツであるからには、僕たちは4回転ジャンプに挑むべきだ、と。私は彼のこの考え方に大きく賛同したい。
男子選手にとって、4回転ジャンプはやはり特別なジャンプ。たったひとつのジャンプをプログラムに入れるか、否か。それだけで選手たちの精神的な負担は、3回転半までのプログラムとは比べ物にならないほど大きい。ひとつの4回転を入れるだけで、滑り始める恐怖感は全く違うし、ひとつのジャンプの失敗がプログラム全体を壊してしまうリスクも大きい。3回転半だけでまとめるプログラムの方がどれだけ精神的に楽か…。
そのことを考えれば、メダルを射程圏内に入れた選手が4回転を回避してしまうのもやむを得ない、と思ってしまうほど。しかしそれでも、4回転を跳んだうえでプログラムを作り上げよう、それでこそチャンピオン。それがプルシェンコの主張であります。(続く)
(2010年5月12日16時04分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
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