756号本塁打世界新記録のボードを掲げる王貞治と両親(父・仕福さん、母・登美さん)=77年9月3日、後楽園
ソフトバンク・王貞治球団会長(70)の実母・王登美(おう・とみ)さんが8月16日午後7時36分、肺炎のため東京都内の病院で死去していたことが17日、明らかになった。108歳。通夜、告別式は故人の強い希望により密葬で執り行われる。
登美さんは1901年9月21日、富山県富山市で生まれた。夫の故仕福さんとともに東京都墨田区で中華料理店「五十番」を経営しながら、巨人での現役時代に868本塁打のプロ野球記録を樹立した王会長を育てた。双子の未熟児だった王会長。一緒に生まれた姉・広子さんが1歳3か月で亡くなり「姉は貞治の体の悪いところを持っていってくれたから、お姉ちゃんに感謝しなさい」と登美さんは言ってきかせたという。
77年9月3日、後楽園球場で世界新記録となる通算756号本塁打を放った直後のセレモニー。故仕福さんとともに王会長から記念の花盾を渡され、ベンチ前に並んだ巨人ナイン全員に頭を下げた。厳しさの中にも献身的なやさしさを持ち合わせていた。
王会長は球団を通じ「108歳の天寿を全うしてくれました。長い人生で様々なことがあったと思いますが、力強く生きてくれたことは、息子として誇りです。これからは父親のそばで、まずは出会いを楽しんで欲しいです」と話し、亡き母をしのんだ。
(2010年8月17日)