政府内にはエコカー購入補助の延長を求める声もくすぶるが、直嶋正行経済産業相は「なかなか難しい。需要の先取りをしているわけで、長期間続けるほど副作用が大きくなる」と慎重だ。
しかし、家計の収入を示す4〜6月期の名目雇用者報酬は前期比0.1%減と、2四半期ぶりにマイナスに転じるなど、家計が力強く消費に踏み出せる状況ではない。実際、4〜6月期は購入補助がある家電や自動車といった耐久消費財が前期比1.3%減と落ち込んだだけでなく、購入補助策がない衣料品などの半耐久財も同0.3%減と4期ぶりにマイナスに転じた。
プラス成長を支えた輸出の先行きも盤石ではない。4〜6月期は欧州向けが好調だったが、これまで高水準だったアジア向けは伸び悩んだ。足元では、米国や中国の景気減速の懸念が高まっている。日本企業にとっては、円高という輸出を阻害する新たなリスクも加わった。
輸出に支えられ大企業の業績は急回復している。だが、先行き不安は消えず、企業は国内投資や雇用の増加に踏み切れず、家計は消費を控え、国内の売上高は伸びない。負のスパイラルからなかなか抜け出せないでいる。
このため今後は、菅政権が内需の「息切れ」を補うため、追加の経済対策を実施するかも焦点になる。菅直人首相は3日の衆院予算委員会で「何らかの対応が必要か検討しなければならない時期にきている」と発言。16日夕も、首相官邸で記者団に対し、経済対策について「関係閣僚に、今の日本の経済状態をしっかり見た上で報告してもらい、今後のことは考えていきたい」と含みを残した。
具体的には、雇用の拡大策や円高に悩む中小企業の支援策、省エネ家電のエコポイント制度の延長などの消費刺激策が検討課題になりそうだ。財源として、「経済危機対応・地域活性化予備費」や09年度の決算純剰余金の合計約1.7兆円が想定されている。
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