現在は、「内容が違えば、ボリュームも付録も変わるのだから、価格が変動して当然」という考え方で、毎月価格を検討しているということです。
そして今や同社最大の特長とも言われる「付録」。従来の“おまけ”の域を大きく上回る価値の高いものを提供する同社の「付録戦略」成功の秘訣は何なのでしょうか。
ブランドからのオファーにそのまま身を委ねると、コンセプトが乱れてしまうことから、編集部門が“連載ページのひとつ”という感覚で、企画から製品化までとことん関わっているとのこと。次々に大ヒット付録が生まれる背景には、徹底したこだわりがあります。
「マーケティング会議」により生み出されてきたこれらの方策には、「雑誌は顧客を囲い込みすることなどできない」という宝島社の考え方がベースにあるのではないかと思います。
「競合は、決して他の雑誌ではない」
「読者アンケートは、結果として受け止めるだけで参考にはしない」
「今、読んでいただいている人以外をターゲットとして考える」
「TVコマーシャルは全く読んでもらってない層に訴求できる番組に打つ」
確かに、何にお金を使うのかはその時々の消費者の判断ですから、「単に雑誌が競合ではない」ということには頷けます。常に新しい読者を獲得することができなければ、部数の拡大は覚束ないものになってしまうでしょう。
上記のような既存の読者層にこだわらない考えを持ってしまうと、実行する方策において迷いが生じるケースが他社などでは数多くあったように思います。しかし宝島社は「より雑誌の魅力、価値を高めるためにやるべきことをやる」という信念を貫いているところが、既存と新規の読者の支持につながっているのかもしれません。
作り手としては、ターゲットを絞り込むことでどんな内容にするのかがイメージしやすくなるため、特に女性誌では年齢や職業でターゲティングする発想になりがちなのです。そうしたなか、宝島社の「sweet」は「一生女の子宣言!」というコンセプトで「今、何歳であろうが、女の子であり続けたい」と願う女性をターゲットとしています。
この“絞り込まない”ターゲティングも、従来の枠に捉われずに柔軟な発想で臨むというスタンスの表れであり、100万部を可能にしたマーケティングの軸だとも考えられます。
思わず雑誌を売りたくなってしまう
書店応援キャンペーン
「書店スタッフの協力がなくては、とても達成できないと感じた」
これは、2009年にさらなる「sweet」の拡販を考えていた営業担当者の言葉です。