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きょうのコラム「時鐘」 2010年8月18日
今週の「ヒラリ君クイズ」は、ホタルがテーマ。時節にふさわしいが、あの美しい光を見る機会はめっきり減った
虫かごを手に、競ってホタルを集めた思い出がある。学校で、「蛍(ほたる)の光」の歌詞の意味を教わった。あんな光で果たして本が読めるのか。仲間と実験に及び、結果、昔の人のほら吹きが判明した 学校では2番の歌詞まで習った。別れの時がきたが、互いに前途の幸を歌おう、という内容。戦前生まれの親たちは、続きの3、4番をそらんじていた。遠く隔たっても、国のために心を一つにしよう、という歌詞で、4番は「台湾の果ても樺太も」守るべき国土、と歌い出す 最初の歌詞は、「千島の奥も沖縄も」だったという。領土が広がるにつれて歌われる国境の地名が変わり、戦後は一転、封印された。確かに、大声で斉唱するのは、はばかられる。が、続きの歌詞がなかったように教えるのにも首をひねる。くさい物にフタ、という戦後処理であろう 学校では教わらぬ大事なことが、結構ある。フタをして知らぬふりという場当たりの戦後があったことも、周囲の大人と夏のホタルに教えられた。 |