その発言を聞いたサムスングループ幹部は耳を疑い、凍りついたという。7月28日、韓国、李明博大統領の母校で現政権中枢に多くの卒業生を送り込んでいる高麗大学の校友会館で開かれた朝食会の時のことである。
サムスン電子の最高益に心が痛んだ
李明博大統領の側近で現職閣僚級ポストである放送通信委員長を務める崔時仲氏が「今年第2四半期のサムスン電子の利益額が5兆ウォンで過去最高に達したという報道を見て、心が痛んだ」と語ったのだ。
最高益を上げたサムスン電子を、韓国の閣僚が賞賛するというのなら分かる。だが、「心が痛む」とは一体どういうことか。就任以来、「親大企業・財閥」政策を掲げてきた李明博政権が大きく方針転換、「大企業・財閥叩き」がついに始まったのである。
崔時仲氏は「心が痛んだ」と言った後、こうつけ加えた。「(サムスン電子最高益という)報道を見て、共感する人よりもむしろ相対的に貧しいことを感じる人が多いのではないか」
簡単に言えば「儲け過ぎ」批判である。崔時仲氏は、サムスン電子以外にも「時価総額の上位100社が過去5年間で雇用を1.5%しか増やしていない」と不満を表明、意図的な大企業批判の講演だったことは明らかだ。
李明博大統領の側近が、あからさまにサムスン批判をするのは初めてのこと。ここまで強烈ではないが、前日にも主要経済閣僚である崔炅煥・知識経済部長官が、銀行幹部との会合でこう発言している。
「近頃は大企業が銀行よりもお金を持っている。特にサムスン電子は、銀行よりも低い金利でお金を借りている」
大企業は横暴だと大統領が非難
この発言も、サムスン電子を名指ししての「儲け過ぎ」批判が趣旨だった。一連の閣僚の発言は、もちろん李明博大統領の意向を反映してのものだ。
李明博大統領は7月以降、大企業批判を繰り返してきた。
7月12日の青瓦台(大統領府)での会議では、「下請けの中小企業が開発した技術を取引先の大企業が奪ってしまうことがあるらしいが、こんなことが許されれば中小企業は生き残ることなどできない。中小企業がなくなれば産業界全体の生態系に重大な影響が出てしまう」と発言。大企業の横暴を非難した。
22日には、ソウル市内の庶民向け金融会社を視察した際、「大企業系列の金融会社が法外な利子を得ている。社会正義に外れていないか。きちんと調査すべきだ」と発言した。
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