新たに青瓦台入りした経済政策の責任者は韓国紙などに対し、次のように語り、庶民や中小企業対策を重視して経済の両極化を解消することが最優先課題だとの見方を示した。
GDPが成長した恩恵は大企業だけが受けた
「第2四半期に韓国のGDP成長が7.2%だったと言うが、このうち、ざっと6%分は大企業や一部輸出企業だけが恩恵を受けた。庶民や中小企業はほとんど恩恵を受けず、依然として苦しいままだ」
ただ、「庶民重視」と言うが、実現は容易ではない。サムスンなど大企業は激烈なグローバル競争にさらされている。調達も生産も研究開発もどんどんグローバル化しており、利益が上がったからといって国内の雇用がすぐに増える構造ではない。
ある大企業の幹部は困惑気味にこう話す。「我々は日々、ぎりぎりの競争に追われている。利益が出たからといって批判を浴び、国内の雇用や取引先の国内中小企業の利益を増やせと言われても、対応のしようがない」
別の企業の幹部は「最近の政府による大企業批判に乗って、一部市民団体などは、儲け過ぎた企業は巨額寄付などで利益を社会還元せよと主張している。むちゃくちゃな話だ。庶民の景況感が悪いことは大企業も心配しているが、それを大企業のせいだと決めつけるのもおかしい。政府による大企業批判が一時的なポーズであることを願うだけだ」と語る。
かつて米国には「ゼネラル・モーターズ(GM)にとって良いことは米国にとって良いことだ」と言う言葉があった。韓国でもつい最近まで「サムスンにとって良いことは韓国にとって良いこと」だった。
ところがグローバル大競争時代の到来で、サムスンなど大企業は韓国企業でありながらグローバル企業になってしまった。
古き良き時代の現代財閥のCEO出身である李明博大統領から見れば、「韓国にとって良いこと」を十分にしてくれない財閥や大企業は許せない存在なのだろう。
その怒りが「大企業批判」になっているが、これがいつまで続くのか。この夏の韓国経済界の最大の注目点である。
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