李明博大統領が財閥総帥を青瓦台に招いて、「経済回復」を語る姿がテレビに映るたびに、庶民層は「ああ、この大統領は大企業のことしか考えていないのだ」という印象を抱き、反発してしまった。
ウォン安政策で大企業を支援したものの・・・
この反発が統一地方選惨敗の一因だったことは間違いない。そしてその責任追及の矛先が、サムスンなど大企業に向かっているのだ。
「李明博大統領は、就任以来一貫して大企業を支援してきた。大企業が牽引役となって経済再生を実現するという信念からだった。ところが、大企業の業績は急回復したが、雇用も投資もさほど増えない。李明博大統領にすれば、大企業に裏切られたという思いがある」
韓国の有力紙記者はこう解説してくれた。
李明博政権発足以来、大企業は多くの支援を受けた。例えば為替政策。李明博政権誕生前の2007年の平均レートは、1ドル=930ウォンだったが、2008年には1120ウォン、2009年は1276ウォンと「ウォン安」が急速に進んだ。
「韓国の輸出企業が日本企業などとの競争で優位を維持できるように、政府がウォン安誘導策を続けたため」との見方が一般的だ。
サムスン電子の法人税は日本メーカーの3分の1
大企業に対する優遇税制もよく引き合いに出される。サムスン電子の2008年決算基準の法人税負担率は10.5%。シャープの36.4%に比べて破格の低さである。
さらに各種の優遇税制も導入し、低金利政策を続けたが、これも新規資金需要があるのが大企業だけという点を考えれば「大企業優遇策」だった。規制緩和などの手も打った。昨年末にはサムスングループの李健熙前会長を特赦し、経営復帰への道を開いた。
それもこれも、大企業支援→大企業業績回復→雇用拡大や中小企業の業績改善というシナリオを期待したからだった。ところが、この目論見は、「大企業の業績回復」で止まってしまった。
李明博大統領は統一地方選惨敗後、青瓦台幹部の人事を一新した。経済政策の力点を「大企業中心の経済再生」から「庶民景気回復」に転換させるのが狙いだ。
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