さらに翌日の青瓦台での会議では、「大企業は巨額の現金を保有しているのに投資をしないから庶民が苦しんでいる」と一段と大企業批判のトーンを高めた。
公正取引委員会は取引実態の調査を始めた
李明博大統領がここまで踏み込んで「大企業批判」に乗り出したのを機に、部下の閣僚なども一斉に「大企業批判」発言をし始めたのだ。
それだけではない。公正取引委員会は、大企業と下請け企業との取引実態の調査に着手した。
李明博大統領は、現代建設の社長、会長を歴任し、「CEO大統領」を掲げて2007年末の大統領選で圧勝した。「経済再生」が最重点政策で、就任以来、財閥や大企業との親密さを売り物にしてきた。
その李明博大統領の豹変ぶりに経済界は猛反発した。
7月28日、韓国南部の済州島で開幕した全国経済人連合会(全経連)の夏季フォーラム。挨拶に立った鄭炳哲常勤副会長は、北朝鮮によると見られる哨戒艦沈没事件への政府の不十分な対応や、行政機能の一部移転問題を巡る混乱などを引き合いに出して、政府には政策の一貫性がない、と批判した。
全経連トップが李明博政権を公然と批判するのは、初めてのことだった。
企業側は猛反発するが、閣僚は聞く耳持たず
31日には、全経連フォーラムに講演者として出席した崔炅煥・知識経済部長官、尹増鉉・企画財政部長官と全経連幹部が顔を合わせた。
この席で、全経連の元常勤副会長である孫炳斗・韓国放送協会理事長が2人の閣僚に「企業が利益をたくさん上げたのに『心が痛む』などと言う閣僚が一体どこにいるのだ」と強く抗議した。
わずか数カ月前の、李明博政権と全経連との密接な関係からは想像もできない場面だった。この日の講演でも2人の閣僚は、「大企業批判」の発言を繰り返した。
「現金を何十兆ウォンも持っている企業が、下請け業者に現金で支払わず、1カ月もの手形で支払っている。貪欲としか言えない行為だが、そういうことがないか、胸に手を当てて考えてもらいたい」(尹増鉉・企画財政部長官)
「大企業と下請け中小企業との取引で、いまだに不正行為が多い」(崔炅煥・知識経済部長官)
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