藤川俊プロ１号！黒い阪神１２点で逆転３連勝

＜横・神＞横浜を下し、ナインとハイタッチする阪神・藤川俊（右から２人目） Photo By スポニチ

　伝統のユニホームに身を包んだ若虎が決めた。阪神は１７日、横浜戦で１点を勝ち越した直後の９回、ルーキー・藤川俊介外野手（２３）が左翼へプロ１号３ラン。自らの誕生日に祝砲をあげ、チームの勝利に貢献した。この日はセ・リーグのイベント企画で、「ダイナマイト打線」と呼ばれた１９４８〜４９年の黒い復刻版ユニホームを着用。ブラックタイガー軍団は１７安打１２点と打線が爆発し、２位・巨人とのゲーム差を１に広げた。

　【阪神１２―８横浜】６０年以上の時を越え、ブラックタイガー軍団の一員となったルーキーが乱打戦に終止符を打った。藤川俊だ。９回に１点を勝ち越し、なおも２死一、二塁。プロ初本塁打となる３ランを左翼ポール際に放り込んだ。

　「当たりがよかったので“入れっ”と祈っていた。スタンドに入った瞬間は頭が真っ白になりました。出来過ぎ。自分でもびっくりです」。お立ち台では記念球を手に初々しい笑顔を見せた。

　１ストライク１ボールから、迷いのないスイングで内角直球を思い切り振り抜いた。目の前で城島が敬遠されて迎えた打席。「前の打者が歩かされて、絶対に打ってやろうと思っていた」。味わった屈辱は、しっかりバットで返した。発奮材料は他にもあった。この日は自身の２３歳のバースデー。試合前には福岡県在住の両親からも激励され「（記念のボールは）親にあげようと思います。いいプレゼントになりました」。５０メートル５秒９の俊足や好守を買われ、開幕から１軍に帯同。しかし出番は守備固めなどの“脇役”が多かった。この日も代走からの出場。それが貴重な一発で自らの誕生日にも花を添えた。

　上下黒色の戦闘服も藤川俊に力を与えてくれた。この日は、セ６球団が復刻ユニホームを着用。それぞれの球団が異なる年代のユニホームを選ぶ中、阪神は１９４８〜４９年のものを身にまとった。ダイナマイト打線の異名をとった「大阪タイガース」の黒のユニホームは、まさに「ブラックタイガー」。藤村、別当、土井垣らを擁して史上最強と称された打線をほうふつさせるように、１７安打１２得点と大爆発した。

　終盤に２点差をひっくり返しての３連勝で、２位の巨人に１ゲーム差をつけた。それでも藤川俊に浮かれる様子はない。「優勝は考えず、一つ一つ戦うだけです。とにかく、チームの勝利に貢献するプレーを心掛けている」。伝統のユニホームを着た若虎が、チームの思いを熱く代弁した。

　◆藤川　俊介（ふじかわ・しゅんすけ）１９８７年（昭６２）８月１７日、福岡生まれの２３歳。広島・広陵では１年夏に５番・一塁で甲子園に出場。近大では１年春からベンチ入りし、ベストナイン５回。３年春はＭＶＰ獲得。５０メートル５秒９の俊足から、昨季引退した赤星の後継者として期待される。１メートル７７、７２キロ。右投げ右打ち。

　▼阪神・城島（２回に同点の左翼線二塁打）きのう信州そばを食べたので、コシのあるネバったバッティングができた。

　▼阪神・真弓監督（藤川俊は）少しずつ打撃の力をつけている。（乱打戦で）こういう点の取り合いはいい傾向ではないが、打線がどんどん勢いをつけている。

　▼阪神・鳥谷（９回の先頭打者としての一塁内野安打など４安打）とにかく食らいついていった。あのヒットから（マウンド上の山口が）おかしくなったような感じ。

　☆大阪タイガース時代の４８、４９年の世相　４８年（昭２３）に発売された「ホッピー」が、ビールの代用品として人気商品に。４月には美空ひばりが横浜国際劇場でデビュー。６月に作家・太宰治が東京・三鷹の玉川上水で入水自殺を図った。また、警視庁と大阪府警が犯罪専用電話「１１０番」を設置。スポーツニッポン新聞はこの年に創刊。４９年は湯川秀樹が日本人初のノーベル物理学賞を受賞。プロ野球は１１月に２リーグ制の実施を決定した。１２月には大阪に回転寿司の１号店が開店。この時期に誕生した著名人は４８年にタレント・ビートたけし、歌手・井上陽水、４９年には歌手・矢沢永吉がいる。この２年間の大阪タイガースの順位は８球団のうち４８年が３位、４９年が６位だった。 【試合結果】

[ 2010年08月18日 ]