NHKのドラマにもなった人気漫画「とめはねっ!鈴里高校書道部」に登場する名門校「豊後高校」のモデルとされる大分市の私立大分高が、“書の甲子園”といわれる全日本高校・大学生書道展(日本書芸院、読売新聞社主催)で昨年と今年、多数の不正を行ったことが16日、発覚。今年出品した2487作品のすべてが失格となった。近年ブームとなっている高校生の書道ブームに水を差す事件となった。
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今年1月に放送されたNHKドラマ「とめはねっ!」のほか、映画「書道ガールズ」が5月に公開されるなど、“書道パフォーマンス”が話題を集め、高校生の書道ブームが熱気を帯びる中、“書の甲子園”常連の名門校による不正が発覚した。
大分高は同書道展の団体賞で昨年を含め、9回最優秀校に選ばれた名門。同校によると、書道部顧問の男性教諭(51)が「自分の判断で、勝ちたい一心で不正をやった」と話しており、停職3カ月の処分にする方針。
同校の説明では、今年の篆刻(てんこく)部門に、すべて作者が違う247作品を出品したが、篆刻の同じ印影を複数の作品で使っていた。
また漢字(出品数940作品)、かな(同683作品)、調和体(同617作品)の各部門でも、書道部員らの試作品に別の生徒の名前を書いて、“水増し”出品していた。
実際に参加した書道部員や一般生徒は計273人。対して出品数は2487作品。団体賞は出品数に応じてポイントが加算される仕組みで、各部門への出品は1人1作品に制限されており、ほとんどが不正出品とみられる。
団体賞の最優秀校となった昨年の篆刻部門でも、241人の出品者名簿に卒業生8人や実在しない生徒25人の名前があることも判明。同校は不正発覚を受け16日、最優秀校の盾を自主返納した。