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履正社“T-山田”豪弾で笑顔の終戦

 6回、履正社・山田は2点本塁打を放つ(撮影・松井愛子)
 6回、履正社・山田は2点本塁打を放つ(撮影・松井愛子)

 「高校野球・3回戦、聖光学院5-2履正社」(16日)

 3回戦4試合が行われ、第2試合に登場したプロ注目のスラッガー・履正社(大阪)の山田哲人内野手(3年)が、聖光学院(福島)の好投手・歳内から左翼スタンドへ豪快な同点2ランを放った。試合は2‐5で敗れたものの、自身は2安打2打点と本領を発揮した。山田は試合後、プロ志望届提出を明言。阪神などが上位に挙げるドラフト候補は、10月28日を静かに待つ。

  ◇  ◇

 「8強入り」は逃したが、聖地に強烈なインパクトを残す一撃だった。2点を追う六回、四球の走者を一塁に置いて山田が打席に立った。

 「長打でなければ走者がかえせないと思ったので狙ってました」。内角高めの直球を叩いた。一時は同点となる2ラン。左中間スタンドに飛び込んだ白球を確かめ、ダイヤモンドを回りながら2度ガッツポーズした。「めちゃくちゃ集中してて、ホームイン後に疲れました」と振り返った。

 子供のころからあこがれていた甲子園で放った高校通算31号。46000人の大観衆が証人となった。「ここに来られただけで本当に幸せ。今までで一番うれしいホームランです」。敗者のお立ち台にも涙ではなく、笑顔で上がった。

 打線は、聖光学院・歳内の変化球に苦戦した。連打は一度も出なかったが、山田は自分の前に走者の出た勝負どころを逃さなかった。「2年生のときはチャンスで打てなくて悔しかった。きょうホームランを打てて、勝負強くなり気持ちも強くなったと思う」とかみしめた。3番に座った昨夏の大阪大会準決勝で無安打。延長12回の末、PL学園に敗れた悔しさが聖地での本塁打に変わった。

 新チーム発足当初、副将に推されたが「できません」と断った。それでも岡田龍生監督(49)は「春からはチームを引っ張る自覚が出た」と話す。明るい性格で、OBであるオリックス・T‐岡田をもじったニックネーム「T‐山田」にも「ありがとうございます」と、まんざらではない表情。試合後は甲子園の土をどっさり拾い「負けた選手の“定番”ですから」と、ケロリとして答えた。

 今後の進路については「プロ志望届を出そうと思います。早く1軍に上がり有名になって、尊敬される選手になりたい」と将来の姿を思い描く。阪神をはじめ複数球団がドラフト上位候補に挙げる三拍子そろった逸材は「今まで生きてきた中で一番ワクワクして幸せな夏」とさわやかな言葉を残し、思い出の詰まったバットを置いた。

(2010年8月16日)





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