「キッズキャンプ」構想が立ち上がったのは1999年。「病院で過ごす子どもたちにも夏の楽しい思い出を残してあげたい」と望む小児科医たちと、ハンディキャップを持つ人々にも広く公園を開放したいと考えていた公園行政の専門家たちが協力し、実際に小児がん患者のキャンプ参加を進めている米国を視察。元国土交通省審議官が故郷の滝川市に計画を打診したところ、同市が約16ヘクタールの牧草地を無償で提供し、計画が実現した。財団法人に認定されたキッズキャンプが施設の建設を進め、敷地内には事務棟と簡単な治療行為ができる医療棟が完成した。今後、体育館、宿泊棟、浴室棟などの建設が予定されている。
15回のプレキャンプでは終了後、多くの親たちからメッセージが事務局に届く。
「何事も病気のせいにしなくなり、できるだけ自分でやろうとするようになった」「同じ境遇の子どもと4日間話しあえたことが自信になっているようだ」
一方で、課題も残されている。プレキャンプでは子どもからは参加費を取らず、ボランティアからは約4万円(航空券含む)を徴収することで運営してきた。オープン後も、子どもからは参加費を取らず、運営費はすべて寄付やボランティアで補う方針だ。施設などの建設費約7億円については、計画に賛同する企業や個人からの寄付でまかなえる見通しだが、年約5千万〜1億円とされる運営費をどう確保していくかはまだはっきりしていない。
キッズキャンプ理事である東京農業大(神奈川県)の浅野房世教授(園芸療法学)は「成功するかどうかは、難病の子どもたちのために何かをしたいと思う人々をどう増やしていくのかにかかっている」と話す。(三浦英之)