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NHK、受信料還元どうする 不況で収入伸び悩み 会長、値下げ及び腰?

8月17日7時56分配信 産経新聞

NHK、受信料還元どうする 不況で収入伸び悩み 会長、値下げ及び腰?
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(写真:産経新聞)
 NHKが平成24年度からの「受信料10%還元」という重い“宿題”に悩んでいる。還元は、20年に策定された経営計画に、不祥事からの改革のシンボルとして盛り込まれたが、前提となる受信料収入の伸びが、不況などの影響で計画に届いていない。経営委員会は執行部に年内に還元の見通しを示すよう求めているが、福地茂雄会長からは値下げに否定的な発言も漏れている。(三宅陽子)

  [表で見比べる]21年度は計画目標より受信料収入は少なかった

 6月22日、経営委員会の委員長に再任された小丸成洋(こまる・しげひろ)・福山通運社長は、10%還元について「基本的には値下げだと思う」と言い切り、「まだ十分な議論はしていない」と補足しつつ、年内に見通しを示すべきだという考えを表明した。その9日後の7月1日、今度は福地会長が「私は一律値下げの問題ではないと思っている」と表明し、値下げ以外のサービスなどによる還元の可能性も示唆。両者の温度差が際立った。

 21〜23年度の経営計画には「受信料の公平負担を徹底し、構造改革を進めることで収支差金を生み出す努力を続け、(24年度から)10%還元を実行する」と明記。受信料の支払率と収入を、23年度には75%で6800億円、25年度に78%で7160億円にまで引き上げる目標を掲げた。

 だが、計画初年度の21年度決算を見る限り、還元に向けた視界は不透明だ。

 支払率は72・2%で21年度の目標は達成、収入も前年度より56億円増えたものの、目標の6490億円には48億円届かなかった。プロデューサーによる不正支出などの不祥事が相次いだ翌年の17年度を底に、支払率などはV字回復しているものの、不況によって、受信料を免除される生活保護世帯が増えるという想定外の事態が起きたためだ。

 全額免除世帯は20年度の158万件から21年度は208万件に増え、22年度は273万件の見通し。予算も、受信料収入は経営計画の6640億円より90億円低く修正された。

 こうした状況下、NHKは収入の底上げに向けて今年5月、受信契約をしながら不払いを続ける世帯に強制執行の通告を行い、強硬姿勢も示し始めた。ただ、この対応が全体の不払い解消にどれだけ効果があるかは未知数だ。

 また、視聴率は、ゴールデンタイム(午後7〜10時)で昨年、フジテレビに次いで2位と好調だが、広告収入に直結する民放と違い、“即効薬”にはならないもどかしさもある。

 福地会長は還元方法について「今結論を出すことではない」「大事なのは次の時代のNHKのために何をするか」などと明言を避ける。だが、国民に一度切った約束手形が「サービスによる還元」で納得されるかどうか、見通しは厳しい。

【用語解説】NHKの受信料

 NHKの放送を受信できるテレビを設置している人は、放送法により、NHKと放送受信契約を結ぶことが義務づけられ、受信料を支払わなければならない。受信料による収入は、NHKの事業収入全体の約96%を占める(平成21年度決算)。金額は、2カ月払いで地上波のみの「地上契約」が2690円、BS放送も含めた「衛星契約」は4580円となっている。

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最終更新:8月17日7時56分

産経新聞

 

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