夜の動物園が人気＝「お泊まり」夏休み企画―ストレス、費用に悩みも

　閉園後の動物園を独り占め―。客のいない動物園を散策し、園内で宿泊できる企画が人気を集めている。夏休み中とあって親子の応募が多いが、大人だけの参加も。ただ、担当者からは動物のストレスや費用負担に悩む声も聞こえる。
　神戸市立王子動物園は今月、「ZOOキャンプ」と称したイベントを実施。参加は無料で、定員100人に対し300人を超える応募があった。当初は親子限定だったが、「大人だけでも行きたい」との声に押され、昨年から大人のみの参加も可能になった。
　「楽しい」「かわいい」。参加した子供たちは柵にへばりついてコアラやゾウを観察し、目を輝かせた。大阪府岸和田市の林直樹さん（46）は子供連れで参加した。「親も楽しめる。昼は見られない様子が観察でき、飼育員の話も聞けるのがいい」と喜んだ。
　イベントでは園内を消灯し、動物の目に優しい赤色セロハンを張った懐中電灯の光で動物を観察。参加者は寝具を持参し、屋内施設で寝る。運営係の森本市郎さん（45）は「閉園後に人が来たり、明かりを照らしたりすると動物のストレスになる。しかし、夜の動物を見たいという要望には応えたい」と悩む。
　札幌市の円山動物園も今月、「ナイトキャンプ」を企画し、抽選で選ばれた小学生32人が参加した。経営管理課の森山予志晃さん（30）は「夏は海に客を取られるので、いろんなイベントをやらないと。動物に負担を掛けないようにしつつ、来園者を楽しませたい」と狙いを話す。ただ、大勢の客を受け入れるのは難しく、「人件費がかさみ赤字続きなので、今回が最後かも」と明かした。王子動物園の森本さんは「飼育員の手間がかかり収益もないが、動物園の活性化のために頑張りたい」と話し、入園者の増加につながることを期待している。　

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