7月定例社長会見
1 7月豪雨による被災状況について
平成22年7月12日から続いた集中豪雨により、当社管内各地で災害が発生いたしました。特に広島支社管内の呉線・竹原〜安浦間、および美祢線・厚狭〜長門市間の全線では列車の運転を取り止めております。
呉線・吉名〜安芸津間斜面崩壊
美祢線・湯ノ峠・厚保間第3厚狭川橋りょうで橋りょう流出
当社はお客様へのご迷惑をできるだけ解消するため、復旧工事を推進することはもとより、代行輸送を計画し実行しております。
呉線については、三原〜竹原間、広島〜安浦間で列車の折り返し運転を行い、竹原〜安浦間でバス代行を実施しております。
また、美祢線では、厚狭〜長門市間の全線でバス代行を実施しております。なお、沿線の県道の一部が被災し道路状況が悪いため、厚狭〜美祢間にある南大嶺、四郎ヶ原、厚保、湯ノ峠の各駅については、経由いたしておりません。今後、県道の復旧に伴い、バス代行の経路の見直しも検討したいと考えております。
さらに、美祢線については、大変大きな打撃を受けており、現時点復旧の目途が立っておりません。今後、被害状況の実態を把握し、あわせて関係箇所との調整を図りながら、復旧工事に着手していきたいと思っております。
呉線につきましても、復旧に向けて精一杯の努力をしていきたいと思います。
2 最近の営業・輸送概況について
直営の運輸取扱収入は、6月は前年比100.3%、7月の速報値が99.1%となっております。
ご利用状況については、新幹線が6月は前年比103%、7月は20日までで102%となっておりますが、一昨年と比較すると6月が93%、7月は95%となっており、下げ止まった感はあるものの、反転しているとはいえない状況です。
対象期間 | 収入計 | 近距離券 | 中長距離券 | 定期券 |
---|---|---|---|---|
6月 | 100.3% | 99.5% | 100.8% | 99.7% |
7月(20日まで) | 99.1% | 98.5% | 98.6% | 100.7% |
22年度累計 | 100.5% | 101.2% | 100.7% | 99.7% |
※注釈 数値は速報値です。
対象期間 | 新幹線 | 在来線特急 | アーバンネットワーク |
---|---|---|---|
6月 | 103% | 102% | 100% |
7月(20日まで) | 102% | 98% | 98% |
※注釈 数値は速報値です。
3 奈良デスティネーションキャペーンの振り返り
今年4月から6月まで実施した奈良デスティネーションキャンペーンは、平城遷都1300年祭との相乗効果もあり、一定の成果を収めました。奈良県からもJRグループとの連携を今後も深めていきたいとの声をいただきました。
実績としましては、奈良駅のご利用は3カ月平均で前年比約2割増となりました。関西方面へのJR利用旅行商品は、当社管内発地で前年比約5割増、首都圏発地で前年比約3割増となりました。
デスティネーションキャンペーンは6月末で終了しましたが、平城遷都1300年祭は1年間続きます。当社はキャンペーン後も引き続き努力を継続するとともに1300年祭終了後も継続的に奈良に訪れていただけるよう、情報発信や観光資源の開発に努めたいと思っております。
施設名 |
21年度 |
22年度 |
対前年 |
---|---|---|---|
若草山 |
69,423 |
68,164 |
98.2% |
奈良国立博物館 |
121,560 |
202,166 |
166.3% |
奈良県立美術館 |
4,399 |
31,165 |
708.5% |
入江泰吉記念奈良市写真美術館 |
15,098 |
16,144 |
106.9% |
奈良市美術館 |
25,922 |
23,610 |
91.1% |
なら奈良館 |
11,524 |
16,097 |
139.7% |
奈良県立橿原考古学研究所付属博物館 |
11,785 |
28,685 |
243.4% |
桜井市立埋蔵文化財センター |
2,242 |
2,882 |
128.5% |
奈良県立万葉文化館 |
31,668 |
80,197 |
253.2% |
歴史民族資料館(十津川) |
904 |
935 |
103.4% |
また、この奈良デスティネーションキャンペーンを進める際に、社員や職場の活性化につなげたいと考え、職場の「小集団活動」を通じて、駅での手作りの情報発信、列車内でのおもてなしイベントの開催、駅周辺での清掃などの取り組みを次々と推進してまいりました。その結果、多くのお客様からおほめをいただきました。
今後もキャンペーンを通じて、お客様の満足を高める努力を続けていきたいと考えております。
4 新型「はまかぜ」号の営業運転開始について
キハ189系新型気動車「はまかぜ」号につきまして、必要な編成数が完成する期日や、松葉がに漁の解禁日を考慮しまして、平成22年11月7日(日曜日)より、営業運転を開始いたします。
【キハ189系新型気動車について】
キハ189系の主な特徴は次のとおりです。
- □ 安全性の向上
車体各部の接合強化や補強を追加することにより、車体強度を向上させました。 - □ 環境対策
新たな燃料噴射システムを採用し、排気ガス中の窒素酸化物や粒子状物質を削減しました。 - □ 編成
現在の4両編成から、ご利用の少ないグリーン車を減らし、3両編成(指定席2両、自由席1両)としました。
【引退するキハ181系気動車について】
このたびの新型車両の投入に伴い、キハ181系の定期運転は平成22年11月6日(土曜日)で終了いたします。なお、定期運転が終了した後も、一部は臨時列車として運転しますが、今年度末に全車が引退する予定です。
5 余部橋りょうについて
余部橋りょうにつきましては、8月11日までは列車の運行を休止して架け替え工事を行い、8月12日から新しい橋りょうでの運転を開始いたします。
今回の橋りょう架け替えの大きな目的は、強風で列車が運休することを防ぐことにあります。新橋りょうでは、高さ約2メートルの防風壁を設置いたします。この防風壁を設置することにより、風速・毎秒30メートルまでの列車運行を可能とすることを目標としています。これが実現できれば、運転見合わせ回数が90パーセント削減できるものと期待しております。
100年近くもの長い間活躍してきました余部橋りょうが、より安全に、安定輸送を確保できる新しい橋りょうに生まれ変わります。どうかご期待ください。