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「サンゴ礁は陸地」地方交付税UPへ陳情だ

鹿児島県奄美市の海岸
鹿児島県奄美市の海岸
Photo By 共同

 財政難に苦しむ鹿児島県・奄美群島の奄美市など12市町村の議長会は、島を囲むサンゴ礁を“陸地”として市町村の面積に算入できるよう年内にも国に陳情する方針だ。面積や人口を基に配分する地方交付税の増額につなげるのが狙い。12市町村の議長会事務局は「陳情が認められれば、地域活性化や漂着ごみの処理などの環境保全に使いたい」としている。

 “奇策”ともいえるアイデアは、奄美群島市町村議会議員大会で与論島の与論町、沖永良部島の知名町、和泊町の3町が合同で提案。他市町村も賛同した。

 交付税の算定基準の1つとなる市町村の面積は「満潮時の海岸線」を陸地と海の境界線としており、陸地にはサンゴ礁は含まれない。一方、琵琶湖など内陸にある湖沼は陸地扱いで面積に算入されている。

 12市町村は歳入の4〜6割を交付税に依存するなど財政基盤が弱い。さらに、「公共事業費削減」を掲げる民主党に政権交代したことで、2010年度の政府の奄美群島振興開発事業費が09年度に比べ約30%減となるなど、財政事情は厳しくなる一方だ。

 与論町によると、本年度一般会計当初予算約34億7000万円のうち、半額以上の18億6000万円は財源を交付税に依存している。サンゴ礁が陸地として認められた場合は、同町の面積は1・5倍となり、交付税が増える可能性が高い。同町の麓才良(ふもと・さいりょう)町議(62)は「島民の生活に密着しているサンゴ礁を陸地として認めてほしい」と主張する。

 知名町の平安正盛町長(63)は「われわれ島々の住民は海を守っている。領土、領海という定義があるように、交付金は単に土地や人口だけでなく、いろいろな要素を考慮してほしい」と強調。サンゴ礁は海水温上昇などが原因とみられる白化現象や、オニヒトデによる食害などで壊滅的な被害を受けている。サンゴ礁が陸地として認められたとしても、現状のままでは、その陸地面積は減少し続けることになる。平安町長は「オニヒトデの駆除などの活動もしているが、人口も年々減り、島を守っていけない」と悲鳴を上げている。

 交付税を所管する総務省は「サンゴ礁の面積を測定した公的なデータがなく、現状では難しい」としているが、麓町議は「今後は沖縄などサンゴ礁を抱える他の自治体とも協力の輪を広げていきたい」と話している。

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