気分転換で書いてみました。突っ込みどころ満載でお送りします。
「さあ、第一回東西新聞杯至極料理グランプリ~華麗なるJAPAN~もついに最終決戦を残すのみとなりました!決勝では果たしてどんな熱戦が繰り広げられるのでしょうか!?一つだけ言えるこは、これから私たちは奇跡の目撃者になるだろうということだけです!」
収容人数6万人を誇るドームに実況の声が響き渡る。この会場にいるのは、別に試食できるわけでもないのに、わざわざ「料理勝負」なんて全く動きもないような試合を見にくる生粋の料理好きだけだ。実況に言われるまでもなくこれから始まる戦いが人類のレベルを、地球の物理法則を超えたものになるであろうことは容易に想像がつく。
「それではファイナリストの二人を紹介しましょう!まず一人目――」
実況者がマイクを持ってない左手で指差した先にあるのは赤色と青色をした2つの重厚なドア、そのドアを覆うようにドライアイスによって作られた霧がかかっている。
そして、そのドアから現れたのは…
「まずは赤コーナーより、リアル系料理漫画の代名詞!『化学調味料を口にすると舌がピリピリする』新聞界のネオニート山岡士朗!」
「続いて青コーナー、スーパー系の代名詞!『理由は全く分からないけどなぜか美味しくなっている』ミスター味っ子味吉陽一!」
割れんばかりの歓声が起きる。ファイナリストの登場に場内の興奮もクライマックスだ。
「それでは勝負テーマを発表します。それは……
とにかくうまいもの
です。最後を飾るにふさわしいテーマが選ばれました!制限時間は30分、それでは調理スタート!」
「とにかくうまいもの…か、こいつはむずかしいテーマだな。料理の幅が広すぎる…審査員の好みによって勝負が決まるぞ」
頭を抱えて考え込む士朗。
「なんだよこのテーマ!これじゃあ何を作ればいいのかなんて決まんないよ!」
不満を爆発させる陽一。
制限時間を考えれば作れる料理は一品のみ。勝負を左右する品目決めに使える時間もあまりない。
そこで二人は同じ結論に至った。
「審査員の好みがわからない以上、俺が自信を持って出せる料理を出すしかないな……。この季節なら――」
「定食屋はみんなが好きな総菜ものをそろえているんだ。日の出食堂で一番人気のものを作ればいいんだ!俺は――」
「アンキモで勝負だ!」
「かつ丼で勝負だ!」
30分後そこには二人の料理が審査員の前に並べられていた。(アンキモは気合いで30分中に作り終えました)
「このアンキモ…うまみがとろりと口中を駆け巡る……」
「かつ丼などと馬鹿にしていたがなかなかどうして!」
勝負は拮抗した。審査員の協議の結果、引き分け、いや両方とも勝利ということで話がまとまりかけた。しかし――ある一人の審査員がそのぬるい空気を切り裂く
「おかわり!」
そう言って右手を挙げて、代わりを要求する金髪グラサンの男の前には、すでに10人前の空容器がが積み上がっていた。
「じょ、錠二さん、これはあくまで料理勝負ですので大食いはそれぐらいに……」
実況がややひきつった声で男――ハンター錠二を止めようと声をかける。
すると錠二の両目がギラッと光った。
「大食いをなめるんじゃない!素人にまねできるもんじゃねぇんだ!!」
その言葉にはっとする場内。そうだ、料理の主役は作った者ではない。それを食べてくれる人こそが料理の主役なのだ!
真の勝者は――審査員!!
「ようし、みんなで審査員を胴上げだ!」
誰とは言わず自然とそういう流れになった。
おめでとう審査員。そして感動をありがとう。
完
なんちゅう…なんちゅうもんを書いてくれたんや。
Arcadia内のほかの作品に比べて、この作品はカスや……
絶対に続かない
はじめましての人ははじめまして。お久しぶりの人はお久しぶりです。あまやです。
長期スランプになったため気分転換のために書いた話です。
プロットなぞありません。あるはずもありません。