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気失うまで飲むのが当然だった――増える女性のアルコール依存症 (3/4)

[産経新聞]
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依存のリスク要因は精神的な問題

 久里浜アルコール症センターの副院長で精神科医の樋口進医師(56)は、長年センターで患者の治療に当たる一方、厚生労働省の研究班などでアルコール依存症の研究に携わってきた。

 樋口氏らの研究班の報告によると、平成19年までの10年間に全国11の専門治療病院で調査したところ、アルコール依存症の患者は男女全体で、2119人から2614人と約23%増えたが、女性に限れば、318人から486人と約53%増加した。

 また20年の飲酒者割合の増加の調査によれば、女性は男性に比べて若年層ほど割合が高く、50代以上は急激に減少する。特に20〜24歳では、女性は約90%に達したのに対し、男性は約84%にとどまった。「ある年代で女性の飲酒者が、男性の割合を上回ったのは初めて」(樋口氏)。

 こうした女性飲酒者の増加について、樋口氏は「女性の社会進出の増加や晩婚化で、会社のつきあいなどで飲酒することが増えたのが背景にある。また各メーカーも甘くてファッショナブルなものを出して、若い女性をターゲットにしている」と指摘する。

 しかし、女性は男性に比べて肝臓が小さく、また体脂肪率が高いために体内の水分量が少ないので、アルコールを分解しにくい。男性と同じ量を飲んでも、肝臓に障害が出やすく、依存症にもなりやすいという。 しかし、女性の依存症の増加について樋口氏は、飲酒の機会が増加したことよりも「現段階では、摂食障害などの精神的疾患を抱えていることが原因になっていることが多い。精神的な問題はすべてアルコール依存のリスク要因」と指摘する。

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